第5話 待って居たのはイケメン青年ですよ?
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た。
そう。彼……一誠の小宇宙が、そちらの方角から伝わって来て居る異界の気配を察知していたのだ。
そして、同時にその異世界の気配に纏わり付く、死の臭いも……。
☆★☆★☆
目前に迫った牙を軽やかに躱して、首の付け根に、ほぼ反射だけでナイフを突き立てる。
刹那、激しく首を振った双頭犬が、涎と、そして紅き血潮をばら撒きながら、縁間紡の振るった刃から身を振りほどこうと、強くもがいた。
たくましい四肢。その大きさは、明らかにオオカミのそれさえも上回り、おそらくは虎やライオン以上の体格を示す。毛並は黒。しかし、ふたつに分かれた頭部が、彼らの異常さを示して居り、
更に、周りに振り撒かれたはずの紅い血潮も、その一瞬後には、痕跡を大地から発見する事は出来なく成って居る。
そして何より、どんなに接近したとしても。例え彼らに直接触れる事が出来たとしても、彼らから、通常の動物より感じる体温を一切感じる事は出来なかった。
そう。彼らは、通常の理の中に存在する生命体ではない。
周囲には、この場所に召喚された途端に襲い掛かって来た双頭犬の死骸が累々と存在し、更には大きな傷を受け、後ろ脚で空を蹴り、前脚を苦しげに痙攣させ、口からは瘴気を吐き出しながらも未だ、紡に対する攻撃を諦めていない猛犬たちが横たわる。
この攻撃が、彼ら自身の意志か、それとも、何者かに操られているのかは定かではないが……。
いや、既にフルムーンレクトで、正気に返す事が可能か試して効果が無かった以上、操られていたとしても、それは紡の能力では正気に返す事が出来ない相手からの支配だったと言う事。
「ここは魔物の巣窟……」
我知らず、独り言のようにそう呟いた紡の背後に、再び、巨大な黒い物体が影を落とした。
振り返った紡の視界に映った黒い影は、彼の想像以上に大きく、一瞬、その視野を完全に塞がれる。
刹那、身体を鋭く捩った紡の目の前に顕われる光の壁。
そして、必殺の間合いに因り振り下ろされる黒き旋風!
しかし!
そう、しかし! 一瞬の光輝の後も、其処に存在する光の壁。
リバースパイクバリアが、新たに顕われたミノタウロスの重く、そして鋭い戦斧に因る一撃を完全に防ぎ切ったのだ。
そして、その瞬間に発せられる轟音に等しい咆哮。いや、断末魔の絶叫が地下に広がる洞窟内の壁に激しく反射した。
そう。先ほどまで確かにナイフの形をしていたウルトラブレスレットが、今度はブーメラン型へと形を変え、ミノタウロスの分厚い背中を脇腹から肩に掛けて一気に斬り裂いたのだ。
斬り裂かれたミノタウロスの背中より噴き出した呪力が、紅き霧と成って、周囲の状況を一層、凄惨な物へと移行させて行く。
「ここの邪気
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