第5話 待って居たのはイケメン青年ですよ?
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「ここは……」
突如変わって仕舞った世界の雰囲気に少しの驚きを感じながら、周囲を見回す兵藤一誠。
そう。ここは……。
薄闇に支配された、独特の臭気の漂う空間。
洞窟の中心らしき場所に一人立つ一誠。地面や壁。そして天井に至るまですべて、むき出しの岩肌。
先ず傍に居たはずの金ウサギの姿は見えない事から、このギフトゲームに参加資格を得たのは自分一人だと言う事も確認出来る。そして、ギアスロールに記された黄泉比良坂の地名から推測するに、ここは地下に広がる洞窟だと思われる場所。……だと考えるのが妥当なのだが、見渡した範囲内には光源の類を見つける事は出来なかった。しかし、それでも尚、ぼんやりとしたかすかな光を彼の双眸は感じて居た。
丁度一周分、周囲を見渡した後、強く首肯く一誠。
雰囲気としては、都市の地下を走る下水道に近い雰囲気。しかし、足元に流れる水など存在する事もなく、むき出しの岩肌と、四方から這い出して来るかのような濃く澱んだ霧のみが存在する場所。
そうやって、一誠が結論を出した正にその刹那。
刹那!
彼の背後に発生する巨大で凶悪な気。
そして、一誠が振り返った瞬間に襲い掛かる何モノか。
その黒き身体に存在するふたつの首より吐き出される炎の吐息が、彼の身体を焦がし、そして、一誠の身体など容易く引き裂くであろう鋭い牙が――――。
しかし!
一誠の腕が一瞬の煌めきを放った瞬間、彼に襲いかかろうとした数体の巨大なオオカミに似た何かが、一瞬の内に吹き飛ばされる。
そして、
「ライトニングプラズマ」
一瞬の内に獅子の星座を象った聖衣を纏った一誠の口から、地獄の番犬たちを屠った技の名前が、再び呟かれた。
その瞬間。再び、煌めく光の断線が放たれる!
その断線に貫かれ、身体を構成する呪力を大量に撒き散らせながら大地に倒れ、そして、徐々に薄れ消えて行く黒き双頭の犬たち。
そう。十二人存在する黄金聖闘士の中でも最速の拳を持つとされるしし座の黄金聖闘士の技は正に光速の拳。更に、それぞれの小宇宙を使用した特殊な攻撃を行う聖闘士が多い中で、ただひたすら己が拳を高める事により、究極の黄金聖衣を纏う事を許されたその拳は、正に聖闘士最強と言っても過言ではない。
その技を完全に会得した一誠に取って、この程度の背後からの攻撃など、不意打ちには値しない。
再び、周囲を見回した少年が、そして、その一瞬後に、ひとつの方向に視線を定める。
その方向。濃厚に立ち込めた霧の向こう側に、黒々とした瘴気が渦巻く暗黒の先に……。
そうして、踵を返した一誠が、その見定めた方向。更に、地下深くへと進む方向へと歩みを進めて行っ
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