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SAO編−白百合の刃−
SAO7-ビーストテイマー・シリカ
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 いや、驚いている暇はない。そんな暇があったら足を動かすんだ、私!
 だけど、冷静に考えれば、冷静に考えなくても驚くのは無理なかった。少女の使い魔であるフェザーリドラは、『ドランクエイプ』が振るう棍棒の前に飛び込み、『ビーストテイマー』の少女を庇ったのだ。『ビーストテイマー』の知識は知らないが、使い魔だとはいえど、本来は倒すべきモンスター。そのモンスターがプレイヤーを庇うなんてあり得ない光景を目の当たりした。
 プレイヤーを庇った、フェザーリドラは地面に叩きつけられ、キラキラしたポリゴンの欠片を振りまきながら砕け散ってしまった。
 普段ならあり得ないことであり、使い魔は消滅してしまったけども、フェザーリドラがプレイヤー庇ってくれたおかげで、私はプレイヤーを助ける可能性が大きく広がった。
 庇った数秒間がビーストテイマーの彼女を救える機会を与えてくれた。

「やぁぁぁああ!!」

 私は棍棒スキル『アクセル・バレット』で風を切るような音速の突き技で『ドランクエイプ』の一体を倒す。力技ではないし、確実に当てるための技ではある。でも、今のレベルなら、この三十五層に出現するモンスターでも確実に倒せる。『ドランエイプ』は三十五層では一番強いけど、私にとっては大して変わらない。

「もういっちょ!」

 続きざまに『アクセル・バレット』でもう一体倒し、そして最後の『ドランクエイプ』も『アクセル・バレット』を使用して倒し切ることができ、『ビーストテイマー』の少女を救えることができた。
 諦めなくてよかった……フェザーリドラがビーストテイマーを庇わなかったら、どうなっていたかわからなかった。今回の功績は、『ビーストテイマー』を庇ったフェザーリドラに感謝しないといけないな。おかげで救えることができた。
 棍棒を背中に収め、彼女に声をかけた。

「だいじょ……う、ぶ……」

 本当は大丈夫って、声をかけようとしたけどそれが言えなかった。
 『ビーストテイマー』の彼女は、全身から力が抜けたように堪えず次々と涙が溢れていた。短剣が手から滑り落ち、彼女は視線を水色の羽根に映すと、その前にがくりと、(ひざまず)いてしまった。
 それはとてつもなく深い悲しみと喪失感。それは涙に変わり、滴るように流れ落ちていく。そこで私は気がついた。
 …………そうか。危機を脱出できた、恐怖からの解放で安心して泣いているんじゃないんだね。“何か”を失ってしまったから、泣いているのね。
 私は、一人の少女を救うことができて良かったと思っていた。それは間違えではないけど、違っていた。一人の少女を救う変わりに、一匹の竜を私は救うことができなかった。
 使い魔のAIには自ら人を守る行動パターンは存在しない。だとすればフェザーリドラは主を自らの意思で守
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