暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第六話 “虚無”と“ガンダールヴ”
[7/7]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
思います。で、そう言う理由(わけ)なんで、教えるのはあなた方が本職ですし―――期待していますよ。っと、そろそろ夕飯の準備がありますので、自分はこれで失礼します」

 『お願いしますね』と士郎はコルベールとオスマン氏にニヤリとした笑みを向けると、ドアに向かって歩き出した。そんな学院長室を出ようとする士郎の背中に向けて、オスマン氏は問いかける。

「のう、エミヤシロウ……お主は何者じゃ」

 問いかけに足を止めた士郎は、後ろを振り返ることなくその問いに答えた。

「なに、ただの使い魔ですよ」

 その言葉には、どこか苦笑が混じっていた。





 士郎が部屋を出て行った学院長室では、オスマンとコルベールが向かい合っていた。

「一体何者なんでしょうか?」

 コルベールが壁に寄りかかりながら、何とはなしに呟いた言葉にオスマン氏が頷く。

「ふむ……本格的に調べてみるかの」
「しかし本当なのですか? その……ミス・ヴァリエールが『虚無』の使い手だということは」 
「うむ、まあ……の。ミスタ・コルベール、もちろんそのことは他言無用にの」
「え、ええ。もちろん分かっていますが。オールド・オスマン、これからどうするのですか?」

 コルベールは普段は決して見せない鋭い目でオスマン氏を見た。

「今は……様子見しかないの」

 その言葉にコルベールは安堵の息を吐く。

「そうですね。まあ、シロウくんは本当にミス・ヴァリエールのことを大切にしているのは、この短い間でも分かる程ですし。心配はしていませんが」
「うむ。これからどうなるかは分からんが……の」

 そう言うとオスマン氏は後ろを振り向くと、窓から見えるすっかり日が落ち星が輝く夜空を見上げた。



 
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ