第一章 土くれのフーケ
第六話 “虚無”と“ガンダールヴ”
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思います。で、そう言う理由なんで、教えるのはあなた方が本職ですし―――期待していますよ。っと、そろそろ夕飯の準備がありますので、自分はこれで失礼します」
『お願いしますね』と士郎はコルベールとオスマン氏にニヤリとした笑みを向けると、ドアに向かって歩き出した。そんな学院長室を出ようとする士郎の背中に向けて、オスマン氏は問いかける。
「のう、エミヤシロウ……お主は何者じゃ」
問いかけに足を止めた士郎は、後ろを振り返ることなくその問いに答えた。
「なに、ただの使い魔ですよ」
その言葉には、どこか苦笑が混じっていた。
士郎が部屋を出て行った学院長室では、オスマンとコルベールが向かい合っていた。
「一体何者なんでしょうか?」
コルベールが壁に寄りかかりながら、何とはなしに呟いた言葉にオスマン氏が頷く。
「ふむ……本格的に調べてみるかの」
「しかし本当なのですか? その……ミス・ヴァリエールが『虚無』の使い手だということは」
「うむ、まあ……の。ミスタ・コルベール、もちろんそのことは他言無用にの」
「え、ええ。もちろん分かっていますが。オールド・オスマン、これからどうするのですか?」
コルベールは普段は決して見せない鋭い目でオスマン氏を見た。
「今は……様子見しかないの」
その言葉にコルベールは安堵の息を吐く。
「そうですね。まあ、シロウくんは本当にミス・ヴァリエールのことを大切にしているのは、この短い間でも分かる程ですし。心配はしていませんが」
「うむ。これからどうなるかは分からんが……の」
そう言うとオスマン氏は後ろを振り向くと、窓から見えるすっかり日が落ち星が輝く夜空を見上げた。
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