第三章
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へのタッチダウンだからな」
「それしてくれたのね」
「ああ、ダイアナへのプレゼントだよ」
まさにそれだとだ。彼は娘に優しい笑顔で話す。
「それを贈るよ」
「有り難う、最高のプレゼントよ」
「パパはもうタッチダウンはできないからな」
試合が終わっても身体の痛みは残っている。だがそれは今も隠している。
「だから最後はダイアナに贈ってくれたんだ」
「そうしてくれたのね」
「さあ、じゃあパーティーをしようか」
今度は娘にこう言うのだった。
「ママの作った料理でな」
「貴方の好きなものばかり作っておいたわ」
彼の半分程しかない小柄なその妻もだ。笑顔で彼に言ってきた。
「ポテトサラダにローストチキンにポタージュね」
「あとホットケーキだよな」
「シロップをたっぷりとかけてね。勿論アメリカンクラブサンドもね」
「いいな、じゃあ三人で食べるか」
「家族だけでいいのね」
「俺はそれでいいんだよ」
やはり明るい笑顔で言う彼だった。
「御前とそして」
「ダイアナと」
「ダイアナの為にプレイしてきたんだ」
抱きかかえている娘を優しい笑顔で見ての言葉だ。
「だからそれでいいさ」
「それでフットボーラー引退のお祝いは」
「家族だけでいいさ。それに」
「それに?」
「俺の新しい門出を祝うパーティーでもあるからな」
そういう意味もあった。ただのパーティーではないのだ。
「だから余計にな」
「ダイアナと一緒にね」
「過ごしたい。それでいいよな」
「いいわ。じゃあ三人でね」
「楽しくやろうな」
こう妻に応えてだ。また娘に言うのだった。
「さあ、ダイアナもホットケーキがたっぷりとあるぞ」
「たっぷりと?」
「今日は好きなだけ食べていいからな」
娘に言ってだった。彼は妻にも言った。
「これからはゆっくりとするからな」
「家族と一緒にね」
「今まで以上に。それに」
「それに?」
「怪我もなおすか。こっちもゆっくりとな」
その傷だらけになった身体も癒すというのだった。プロテクターを外した彼はこのうえない優しい顔になってだ。そのうえで家族と共にいることに喜びを見るのだった。
傷だらけのプレイヤー 完
2011・11・2
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