第五十七話
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達と前進してくる重装斧騎士団の後部に降り注がせた。
さらに勢いを減じた斧騎兵が次々と討ち取られて行くさなか、本陣の陣旗隊に指示を出し、さっと上げられた旗の色は弓箭隊に向けてのもので、それを規定通りに振り示すと、すぐにまた元の本陣の旗にすげ替える。
重装斧騎士団の突撃に前後して隕石落としはやんでおり、土や砂の煙はそろそろ治まっていた。
前衛たる歩兵隊は士気の落ち込んだ敵の突撃をしっかりと押しとどめ、精強を以て鳴らしていた重装斧騎士団の面影を過去の物へと押しやっていた。
こうなると、ヴェルトマー軍からの救援が来るのは火を見るより明らかであろうから、再び陣旗隊に指示を出し、主戦場から離れている別働隊へ向けてのものを表しつつ、伝令も送り、備えを固めた。
………予想通り、ヴェルトマーの魔道騎士団が巻き上げる土煙と馬蹄の響き……ドズルの重装斧騎士団に比べて響く地響きは軽く、ともすれば軽く見がちであるが、恐るべきはその戦法だろう。
恐らく、こちらの前衛に向けて火炎を放った後に馬首を翻し、後列の騎士が再び火炎を放ち、その騎士もすぐに馬首を翻し………と、続く一方的な攻撃を続けることになるであろう。
だが、その攻撃を行う為に彼らを動かすことにこそこちらの狙いがある。
魔道騎士団がこちらの前衛まで辿り着く前、後退の命令を出す。
もちろん、これは偽装だ。
だが、こちらの手が緩んだそれを好機と見たのだろうか?
撤退するでも無く、死に花でも咲かすつもりなのだろうか……重装斧騎士団の残骸はむしろこちらに突進し、ついにこちらの本陣を切り裂く事態となった。
「……大将首はどこぞ!」
「レンスター第二王子ミュアハ、逃げも隠れもせん!」
「ぐわははは、わざわざ名乗り出るとは……バカめ死ね!」
突っ込んできた軍馬に槍を突き刺し、床几に立てかけてある大剣に手を掛け一息に抜き放ち、盾は投げ捨てた。
俺に襲い掛かってきたのは恐らくランゴバルトであろう。
見事な髭、そして銀髪に剣呑な目つきをしており、恰幅の良い姿は鈍重さよりも堅牢さこそを感じ取る。
バランスを崩した馬に振り落とされ宙に身を投げだし、両手足で地に着いた奴はぐるりとこちらに一瞥をくれると、間髪を入れずに旋風のような斬撃を繰り出してきた。
剣で受け止めてはソレごと撃砕されそうだっただけに身を躱した。
凄まじい勢いの斬撃であったが、避けた後は隙だらけだったゆえに渾身の力を込めた一撃を叩き付ける。
……今まで、数限りなく命を殺めてきた俺だ、この一撃ならば奪ったという自信があ
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