木曾ノ章
その3
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り消してくれないか。お前は、今正常でない」
「……分かりました。けれど、先ほどの信頼を置ける者をつけるという話、覚えていてください」
「ああ。 そういう事だ、不知火、木曾。鳳翔はお前の艦隊に加えられないが、他のものをつける。あとの仲間は、自分で頼むぞ」
提督は、酷く疲れているようだった。
「行くぞ、不知火。それではな二人共、失礼した」
「失礼しました」
不知火を連れて退出した。部屋を出る瞬間に聞こえたすすり泣きの意味を考えられるほど、私は鳳翔さんのことを知らなかった。
その日の内に、一人、仲間が増えた。長月という駆逐だった。気が強い艦で、私の話を聞いてすぐ、申し出を受け入れてくれた。
また幾日か経った日、第二艦隊に新しく入る艦と顔を会わせた。響と、彼女は名乗った。提督お墨付きの艦らしい。見た目が小さく、駆逐艦であることは容易に推察できた。物怖じしない性格で、私の艦隊に配備されるにあたって適任との判断を受けたらしい。
後から聞いた話だが、不知火によると、彼女は古株の一人らしい。といっても、不知火は私の数日前にここに来たらしく、又聞きの話らしいけど。
それから、残りの艦が集まるのは早かった。既に四艦が集まっているのだ。私一人の時より、格段に入りやすくなったからだろう。
「提督、言われていた五名を集めました。早速出撃させてください」
行動は迅速に。そう思った私は、集まるとすぐ、提督の元へ赴いていた。
提督に、一枚の紙を渡す。そこには私を含め、六人の名前が書かれていた。
「木曾、不知火、長月、響、雷、天龍か」
「驚いたか、ちゃんと揃えたぞ」
「ああ。だから、こいつらを率いて戦果を上げて、俺をもっと驚かせてみろ」
減らず口を叩きやがる。小さくつぶやいて、肩を竦ませた。
「では早速、第二艦隊は出撃準備につけ。作戦内容伝達は一一〇〇に会議室で行う。皆に集まるように伝えろ。兵装はその後換装する。以上だ、各員に連絡をしておけ。下がっていいぞ」
「は!」
心が踊った。やっと艦隊らしくなってきたんだ、胸が高鳴らないわけがない。
早速退出して、皆の元へ向かわなければ。
「良かったのですか、本当に」
木曾が去った後、柏木様に尋ねた。
「こんなこと、敵が本格的な活動をしていない今だからできる。あの無鉄砲ぶりは、いつか致命的な失敗を犯す」
柏木様は、酷く辛そうだった。
「あいつから渡された名簿は、概ね俺の予想通りだった。木曾の元に集まった他の者も、あいつと同じ考えを持つ者ばかりだ。ここでやつらを仕舞い込んだところで、またいつか違う場所で無茶をしでかす。そうして、誰かを殺す」
「なればこそ、です。私と同じ目に合わせてしまう」
「では、永遠と仕舞い込めと? そうなれば私は鋳潰すぞ。あいつらの“思
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