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ソードアート・オンライン ―亜流の剣士―
Episode2 新聞
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うん、いいと思う」
「せやろ!じゃあ店出よっか」

先行して店を出るシスイに、支払いを済ませた俺も続いた。

手持ちのコルは少なくなっていたが、いい買い物をしたという感覚が強かった。それに、俺自身今の恰好を気に入っている。


「どう?いい感じ?」
「あぁ、ありがと」
「カイトの髪の毛見たときにな、濃い蒼で合わしたらいいなって思てんよ!」

興奮気味に語るシスイを見ながら、自分の髪を触ってみた。癖もなくペタッとした襟足長めの髪を、現実の黒から今の紺に変えたのはそれなりに前だ。自分の意志で変えたにもかかわらず、妙に慣れられずにいた髪色だが、今なら素直に受け入れられそうだ。鏡を見たときになんとも思わなかったのがその証拠。

ただ、ここまでバッチリ仕上げてくれた相手が、今日会ったばかりだということに疑問が残らないわけはなかった。

「ま、色々助かった。けど、なんで助けてくれたんだ?」

素直な俺の疑問に、前を歩いていたシスイが踵を軸にクルッと振り返る。

「人助けが好きやから…ってのはどう?」
「いや、似合わない」

俺の答えにシスイの顔に苦笑が浮かんだ。シスイが小さく舌を出す。

「バレたか。…うちな、新聞書こうって思うてるんよ」

飛躍した答えに首を傾げながら、視線で話の先を促す。

「この世界って、娯楽とかあんまりないやんか?だからな、ちょっとでも普通に生活出来るように、新聞作ってみようかなって」
「…新聞って普通の生活に必要か?」
「他の人は分からへんけど、うちは《こっち》と《あっち》が何が違うって聞かれたら、真っ先に『新聞がないです』って答えるから」

そういって屈託なく笑う。なんだか見た目と中身が一致しなくて、頭が混乱してくる。
大人っぽい外見の割に、発想の単純さや行動の安直さが子供っぽい。

「だからな、前線とかこの世界をよく知ってる人に知り合いが欲しいんよ」
「なるほど、新聞を書くにあたって情報源が欲しいと」
「…なんやその言い方やと、うちがカイトを利用してるみたいや。そんなつもりないんよ?」

困ったような顔をするシスイに、手を左右に振って否定の意を示す。


「俺なんかで良かったら手伝うよ」
「ホンマか!良かったぁ」

シスイの顔に笑顔が戻る。少し大袈裟なくらいホッとしたような表情をする。

「そんな大袈裟な」
「そんなことないよ!だって君が協力者第一号やし」

これは意外だった。こんなグイグイ来るシスイのことだから、他にももっと協力者がいるものだと思った。

「《攻略組》の人達って、なんかピリピリしとるよね。だから声、掛けにくうてな」
「そっか。…あれ、俺は?」
「カイトはなぁ…人畜無害な感じ」
「それって褒められてるのか?」


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