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トーゴの異世界無双
第六十六話 お〜王族だらけだな
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ルバニアは必死に笑顔を崩さないように保つ。
 だが、体中に汗を流している。


「もしよろしければ、どういうことなのかお教え願いませんか?」
「そ、そんなこと言ったかニアよ?」


 若干(じゃっかん)裏声になりながらもニアに助けを求める。
 ニアは頼りない夫の態度に軽く溜め息を漏らす。
 そして、しっかりとステリアの目を見つめる。


「ええ、言いましたよ」
「ええっ!?」


 そんな声を出したのは、もちろんギルバニアだ。
 まさか彼女が認めるとは思わなかったからだ。
 ニアなら上手い言葉で煙(けむ)に巻いてくれると信じていた。
 しかし、彼女は期待には応えてくれず、ギルバニアの脳内は混乱に陥った。
 そんな様子を感じたのか、ニアはクスリと笑う。


「よろしいじゃないですか。あの子は私達の家族ですよ? あの子が大会で勝ったら、賞品ですけど、子供にプレゼントするようなものじゃないですか」
「い、いや……それはそうなんだが……」


 もちろんあの子というのは闘悟のことだ。
 ギルバニアは当然大会は闘悟が優勝すると思っている。
 今回大金を賞品にしたのも、闘悟の勝利を疑っていなかったからだ。
 幾ら大会を盛り上げるためだとはいえ、見ず知らずの者に白金貨十枚は少し頑張り過ぎている。
 しかし、闘悟なら、彼女の言うようにプレゼントみたいなものなので構わない。
 むしろ、あまりお金に興味が無い闘悟だから、もしかしたら受け取らないこともあるかもしれないと、そんな小さくてせこい考えも少しは持っていた。
 だが、裏を返せば、それだけ闘悟は二人に信用されているということだ。
 身内びいきな考えを、あまり他人には知られたくなかったギルバニアは、冷(ひ)や汗で盛大に衣服を濡らしている。


「ふむ、あの子とは……?」


 今度はブラスが疑問をぶつけてくる。
 ステリアも真剣にギルバニアの顔を見つめる。
 同じくその場にいたクィルも、彼女を見て初めて不安そうな表情を作る。
 そして、ギルバニアは諦めたように肩を落とし、ゆっくりと口を開く。



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