道場破りと火事での出会い
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周作
俺は北辰一刀流流祖、千葉周作(ちば しゅうさく)だ。水戸から江戸の道場に戻って来たら信じられない光景が目の前にあった。そう、道場中に倒れた門下生達の事だ。そして、真ん中にいるのは成人してるかどうかもわからない少女が無表情で神秘的な空気を醸し出しながら木刀を下げている。
「…………次…………」
「何をしている」
「師範!」
少女がこちらを見る。長い髪を後で纏めている。その髪を伝って流れる多少の汗。逆にいえばこれだけの運動をしてその程度しか流れていないと言う事だ。それだけで、少女の実力の高さが伺える。
「何事だ?」
「道場破りです。神鳴流と名乗っています」
神鳴流だと?
聞いた事の無い流派だな。しかし、あのような少女がこれだけの人数を倒しているのだから、唯の流派では無いな。
「わかった。俺が相手をする」
「しかし!」
「いいから、気絶してる連中を起こして横で見ていろ。邪魔だ」
真ん中へ行き、彼女と対峙する。そして、理解した。これ程の実力者に門下生が敵うはずも無いな。正真正銘の強者だな、面白い。
「北辰一刀流流祖千葉周作だ」
「神鳴流神鳴紗代です」
お互い挨拶をしお辞儀をする。かなり高貴な身分か、行動の一つ一つが精錬され気品が溢れている。
「少々お待ちください。倒れている者達を退かしたら立ち合いましょう」
「わかりました」
その後、軽度の怪我はあるが命に別状も無いので、起きた者達には見学するように申し付けた。そして、中心で改めて対峙した。
「それでは、北辰一刀流対神鳴流の試合を開始します。礼」
お互いに礼をし構える。本来は省略するのだが看板を賭けた最後の試合となると正式な手順をする。
「本気で行く。本気で来てくれ」
「分かりました。今出せる全力でお相手致します」
そう言った後から感じる圧力が半端なく上がって来た。だらりと構えているのに隙が無く、打ち込めば打ち返されるのが目に浮かぶように分かる。こいつは、武の境地といわれる無の領域に入っているのか…………なら、我が武力を全力をもって試せる嬉しい相手だ!
そして、その上で打ち勝つ!!!
紗代
私は千葉周作さんと対峙しています。この人からは凄いプレッシャーを感じます。少しでも明鏡止水を解くと負けそうな感じがする程です。今まで相手した人とは次元が違う実力…………さすが流祖と言った所でしょうか?
どちらにしろ、全力をもって相手をするだけですね。お願いされ事でもありますが、それが強者に対する礼儀だと思いますから。
「すいませんが一本では無く、お互いが負けを認めるまでにしませんか?」
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