道場破りと火事での出会い
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紗代
私の目の前には玄武館が立っています。初めての一人行動なので、思わず形見の首飾りを握りしめて、何度も深呼吸して呼吸を整えます。それから、ゆっくりと中に入りました。
「御免ください」
道場に入り、中を見渡すと60人くらいの人たちが修行に励んでいました。その人達が一斉にこっちを見ます。はっきり言って、少し怖いです。でも、しっかりしないと。こんなの、お人形さんとシルフさん、別荘にいる魔獣達に比べたら何でも有りません。意識を切り替えましょう。
「何用ですか?」
「…………ふぅ…………」
「?」
でも、やっぱりだめでした。緊張してなかなか話せません。あの時はどうしようも無い状況で、必死だったからどうにかなっただけですね。仕方有りません…………こうなったら、明鏡止水を使います。奥義の真髄だけど、いいですよね?
「…………道場破りに来ました…………」
「はは、ご冗談を…………」
私は無表情で対応している人を見ます。
「本気ですか?」
「…………(こく」
「師範代どうしますか?」
「誰か、相手をしてやれ」
どうやら、すんなり相手をしてくれるみたいです。
「では、俺がしましょう。なに、安心してくれ嬢ちゃん。ちゃんと手加減してやるからな」
そして、私達は道場の中心でお互いに向き合います。
「北辰一刀流、加納利家(かのう、としいえ)参る」
「神鳴流、神鳴紗代(かみな、さよ)参ります」
私達は、礼をしてから構えを取ります。私は借りた木刀を右下に構えます。相手は上段でした。そして、ついに試合が開始されました。
「始め!」
「行くぞ!」
相手が打ち込んできた木刀を受け止め、鍔迫り合いになりますが男性の力にはやはり勝てません。
「ほら、やっぱりな」
他の門下生の人達が何かを話しているようですが…………。
「これで、俺の勝ちだ!」
さらに、相手の男性は力を入れてきます。私は逆に力を抜き、身体を回転させて、相手の力を利用して体勢を崩して、通り抜けざまに木刀で脇腹に切りつけました。
「いっ、一本!」
「なんだ今の…………」
まず、一人。木刀を振り血を払う動作をします。もう、癖ですね。
「次」
「なっ…………」
「待て! 今のは油断しただけだ!」
面倒です。意識を刈り取りましょう。
それからの試合は、開始と同時に一撃で意識を刈り取っていく。
「…………遅すぎです…………」
「がぁ!」
「…………次…………」
「何をしている」
「師範!」
どうやら、一番強い人が来たみたいですね。
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