暁 〜小説投稿サイト〜
東方小噺
橋姫と邪仙
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
い。

「ああ、妬ましい妬ましい」
「不思議な人。いえ、妖怪かしら。あなたのその妬ましさについて、話が聞きたいのよ」
「?」

 美女の言葉がわからず眉根を潜める。そんなパルシィを見て、美女が微笑む。

「妬ましい……つまりは嫉妬。嫉妬というその行為がどんな意味を持つか、あなたは知っている?」
「その上から目線が妬ましい」
「……ええと、うん。嫉妬というのはね、羨んでいるということ。羨むというのは羨みであり『怨み』であるのよ」
「その知識が妬ましい」
「あの、ちょっとは話を聞いてくれると嬉しいのだけれど」

 困惑した顔で美女が言う。その顔さえ心をくすぐる何かいい顔で、また妬ましい。
 だがまあワンパターンなのはパルシィ自身理解している。困惑顔が見れただけちょっと落ち着いた。話を聞こうと思う。
 で? と続きを促す。話を聞いてくれたことを理解した美女の顔が嬉しげに綻ぶ。やっぱ反故にしたかった。パルい。

「人を呪わば穴二つ。怨みや妬みといった言葉は人に向ければ言霊になり呪いとなり、呪いは己に帰る。つまり人に向けた怨みは自分にも言っている言霊」
「パルパルパルパル」
「つまりは、自分に向けた呪い。そうでありたいと望む姿。羨みを、怨みを受けたいという願望。つまり、怨んだものを自分も欲しいと望んでいるのよ」
「パルパルパルパル」
「……てい!」

 カコン。煙管でパルシィの頭が叩かれる。何をすると睨むパルシィに美女は腰に手を当て、いかにも怒ってますとばかりにプンプン顔をする。

「人の話はちゃんと聞きなさい! 寂しいじゃないの全くもう」
「それは悪かったわね。生憎、説教は聞かないと前世から決めているのよ」
「こっちも前世? から決めてるわよ。でも私がする場合はいーの」

 全くもう、と美女がむくれた顔をする。こうしてみれば意外に普通だとパルシィは思う。最初のこう、何かナメクジみたいな嫌悪感がない。
 前世、といったが目の前の存在も何かあったのだろうか。初めて疑問が美女に向く。生まれ変わり。生憎、パルシィの知識では判別できない。そういった存在がいる話も、ろくに聞いた覚えがない。

「む、やっとこっちに目が向いたわね。いいわーいいわよー。注目浴びるの好きよ。特別にお姉さんがあなたに人生訓の続き教えちゃうわ☆」
「星が似合わない。もっと年を自覚したほうがいいわよ」
「ムッキー! 青娥ちゃんババアじゃないもんねー。生憎五衰何て克服してますー永遠の美女ですー」
「……」
 
 少し、驚きに言葉が止まる。五衰を克服した。その意味を理解して。目の前の存在が、思った以上の化物だと知って。
 まあ、パルシィとしてはどうでもいいが。パルいかパルくないか。それだけが判断基準である。
 黙ったパルシィの頬を美
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ