三話
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
月の姿を捨てオーロラフィールド・絶縁空間内にサヤが造りだした隔離空間『楽土』内へと突入したアイレイン・ガーフィート。出現した場所は超高空であり、そこからの自由落下の最中である。
(昔もこんな風にこの中に入ったモンだったな。サヤはどこだ)
遥かな昔、オーロラフィールドからこの世界の中に入った時の事を思い出す。
あの時もサヤの世界を破壊しようと侵入したイグナシスとフェイスマンを追いかけて突入したのだった。
(頼むぞ、ニリス)
アイレインの周りを鏡の欠片のようなきらめきが取り囲む。
(あの時とは違って敵はハッキリとわかるが少し高いな。……ん、あれは)
このまま地表まで落ちても別に死ぬことは無いが、流石にどうしようかと思っていると周りに懐かしい姿を見つけた。
「ハルペー!」
呼び声に応えて寄って来たのはもはや何期かも判らないほど古びた体躯を持つ老成体、巨大な竜の姿をした汚染獣。
その正体はクラウドセル・分離マザーIV・ハルペー。
サヤやニルフィリアと同様にこの世界が誕生したその時から存在し続け、レヴァンティンとは方針の違いから自身を「ナノセルロイド」から「クラウドセル」へ進化させ袂を別ち人類の守護の為活動している。正確には汚染獣とはナノセルロイドの下部組織が永い間に変質していったものであるため、ハルペーを汚染獣に分類することは正しくない。
「久しぶり……というには時が経ち過ぎているようにも思うが、久しぶりだな、アイレイン」
落下するアイレインを背中に乗せ降下しながら話しかける。
「そうだな、ハルペー。俺はこの世界全てを見ていたようなものだが直接会うのは違う。そういや昔もこうして降りたな」
かつてもこうしてハルペーの背に乗り、この世界に侵入したイグナシスを追いかけたことを思い出す。
「お前はともかく我が人間達の前に出ると面倒なことになりそうだが」
中身はともかく外見からでは汚染獣と区別がつかない為人類領域には接近してこなかったハルペー、レヴァンティンとの戦いの際にも手を出すことなく外から見ているだけに留めていた。
最もグレンダイン都市内部でのレヴァンティンはもちろんのこと、表層に現れたモノとであってもハルペーが戦いに参加していればグレンダンという都市そのものが消滅していた事は間違いない。
そもそも回復力の異常に高いナノセルロイド同士の戦いを想定しているハルペーの基本戦術は広範囲を高火力で一気に殲滅するというものだ。
少しずつ焼いていったところで回復力を上回るだけの打撃を与えることが困難であり再生が始まる前に焼き尽くす、それがナノセルロイド相手には最も効果がある戦い方だからだ。
ジルドレイドにしろ女王と天剣授受者にしろそこまでの火力を用意出来ない為に、ナノマシンやオーロラ粒子の流入を防ぐという策をと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ