アインクラッド 前編
加速しだす歯車
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の体を包み込む。
しかし、その程度で逃れられるわけもなく、不快感と違和感は再三マサキにのしかかった。圧迫された思考が薄らいでいき、目に映る世界はぼやけていく。
「……うん?」
……どれくらい経っただろうか、焦点が定まらないマサキの視界に、一つのアイコンが点滅した。機械的な動作でウインドウを開く。そして表示された差出人は――茅場晶彦。
「……来たか」
マサキは体を起こすと、尚も頭を覆うもやを無理矢理追い払った。思考のギアを入れ替えつつ、表示されたフォントの羅列を視線で追っていく。
そこには、マサキが送った質問――朝食時に送ったメールは彼宛だった――に対する返信が書き連ねられていた。
マサキがメールで質問した事項は5つ。デュエルにおけるルールなどのシステム的な質問が3つと、クエストなどの攻略情報が2つだ。そして、その全てに返答が貰えるとは、マサキは考えていなかった。今回の質問は、茅場がどこまで踏み込んだ情報を提供するのかを探るための、いわばテストのようなものだったからだ。具体的には、システム系の質問は返答可能、攻略系の質問は返答不可能との予測を立てていた。
「……ほう」
しかし、その予測はいい意味で裏切られた。
最初に書いた三つのシステム的な質問に返答があったことは予測通り、反対に最後の質問に対しては“返答できない”という一文があったことも予想通り。しかし、その一つ前、“《風刀》スキルの発動条件、及びその特徴”という質問に対しての返答だけは、マサキの予想が外れた。
この質問には、私から答えを返すことは出来ない。が、これは君からの最初の質問メールであるし、何より「答えられない」ばかりでは、君へのお詫びというこの質問システムの意義を果たしているとは言えない。……よって、僅かのアドバイスだけさせていただこう。
――このスキルがどういうものなのか、そして、このスキルをどう扱えばいいのか、イメージトレーニングを積んでおくことをお勧めする。そうすれば、君の頭脳ならば、このスキルを最大限使いこなせるはずだ。
「……ふむ」
茅場からの返信を読み終えたマサキは、右手を口元にあてがいながら目を閉じた。考え事をする際のクセである仕草をとりつつ、文面に対して考察を進めていく。
(“イメージトレーニング”……。だが、イメージも何も、全く想像がつかない物を一体どうやってイメージしろと……なるほど、つまりはそういうことか)
マサキは目を閉じたまま、口元を僅かに歪ませた。
文面そのままの解釈で不都合が生じるのであれば、その解釈を変えればいい。つまり、茅場の言う“イメージ”、あるいは“イメージトレーニング”というのは、何か別の意味を含んでいると考えるのだ。
もちろん、この内容が本物である
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