紗代と小次郎A
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紗代
私は神鳴紗代13歳。この村…………龍神村で育ちました。家族は弟が一人。父親は分からず、お母様に育てられました。
私と母には不思議な力が有りました。その力は皆が龍神様の力だといいます。我が家系の女子は代々瞳が蒼く。蒼いほど力が強いそうです。その中でも私の力は歴史上一番高いらしいのです。でも、そんな力など無く、親子で静かに過ごせればどれだけ良かったか…………あれは三年前。龍神村に突如として大勢の鬼達がやって来ました。そして、この村は鬼に支配されました。その時、母は鬼に抗い、食われてしまいました。そして、今度は私の番となります。鬼は村の人々の安全を保障するかわりに私をさしだせと要求して来たそうです。村には鬼に逆らう力などは無く、従うしかないそうです。
「すまんな、紗代。お前を差し出すほか手は無いのじゃ」
村長さんは疲れきった表情で私に謝って来ました。もう、覚悟は出来ているので、気にしなくていいですのに。
「気にしないでください。少し痛いのを我慢すればいいだけですから」
「それが、違うのじゃ…………」
どう違うんだろう?
母を食べて力を付けた鬼達なのに。
「それが…………紗代を母体にするといっておった」
「えっ、それって…………」
私は村長が言った言葉を疑いました。それほど信じられないことだったのです。
「昨日言っておったのじゃ。紗代を母体にして、鬼の子を生ませそれを食らうとな。そうすることで安定して力を得ることができるらしい…………」
「そんな……………………」
「奴らは紗代の母親を食って後悔しておった。一人しか得られないと。それから、どうにか安定して供給する方法が無いかと探しておった。それで…………」
「それが、母体にして作った子を食らうということです…………か?」
「まさに悪鬼羅刹の所業よ…………」
「いっ、いやです。そんな辱めをうけるなんて!」
「しかし、そうせねばこの村は滅ぶ。そして、近隣の村々にまで被害が広まるやもしれん…………」
「そんな…………非道いです…………」
私は体中から力が抜けました。あの…………母を食らった鬼に辱めを受けなくてはいけないとは…………しかし、そうしなければ他の人々が殺されるというのです。そう、私にはどうしようもない事なのです。この力も怪我をすこし治すだけなのですから。
「すまんな。この三年間、奴らが手出ししてこなかったのは、紗代の成長を待っておったのじゃろう。二日後の満月の晩に迎えにくるといっておった。それまで、身を清めておくようにとな…………」
「……………………はい……………………」
村長さんが家から出て行来ました。でも、私にはなに
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