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渦巻く滄海 紅き空 【上】
五十二 警告
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りがヒルゼンの身を襲う。
なんとか身体を捻り、二代目の片腕を掴む。その際、さりげなく起爆札を貼り付けると、大蛇丸目掛けてヒルゼンは二代目を放り投げた。不意を突かれた大蛇丸が危うくかわしたその瞬間、金剛如意棒から手が伸びる。ぎょろりと光る猿魔の眼。
頬を掠める。大蛇丸の顔面を狙った猿魔が眼を細めた。自らの鋭い爪を訝しげに見下ろす。


反撃に出ようとした大蛇丸の傍らで爆発が起こった。先ほど避けた二代目の腕が起爆札により吹き飛んだのだ。再び爆発音がし、大蛇丸の視線が初代に向く。足を吹き飛ばされた初代の傍で起爆札の切れ端と塵芥がチリチリと宙を舞っていた。

「これで敵はお前一人だけじゃのう」
「それはどうかしら?」

使い物にならなくなった二人の手駒。それぞれ片腕と片足を失い、バランスを崩して倒れた初代と二代目火影を前に、大蛇丸は優雅に微笑んだ。

直後、起爆札ではなく、人の手足を象っていた塵芥が今一度人体として形成されてゆく。脆くて柔いが、けれど何度も立ち上がる殺戮人形二体に、ヒルゼンは息をついた。

(やはり【穢土転生】で縛られている魂自体をなんとかせねば…)
そう心中呟いて、ヒルゼンは大蛇丸を見据えた。その眼光には何かを決意したかのような強い輝きがあった。



〈おい、猿飛…〉
傍らで抱える金剛如意棒。猿魔に囁かれたヒルゼンは眉を顰めた。大蛇丸を凝視する。
顔の切り傷。猿魔が傷つけた頬の裂け目から覗き見えるのは、血などではなく新たな肌だった。

人の皮を被った何か。

「また誰かの顔を奪ったのか?」
ヒルゼンの突然の問い掛けに、大蛇丸は怪訝な表情で首を傾げた。長く艶やかな黒髪がさらりと肩に掛かる。
「【消写顔の術】。だがその人相はお前のものだ…―――まさか、」
対象者の顔の人相を奪い、自分の顔にする【消写顔の術】。てっきりその術を用いたのかと思い込んでいたヒルゼンが、ハッと眼を見開いた。

思い出したのだ。己の元弟子が何に執着していたのか。その為にどれだけの犠牲を出したのか。


「……おやおや。バレてしまいましたねぇ…」
自らの頬に手をあて、大蛇丸は困ったように苦笑した。だがその声音は決して困ってなどいない。むしろ気づいてくれた事に歓喜しているかのような風情が感じられた。

大人に褒められた子どもの如きあどけなさで、大蛇丸は顔に手をやった。ペリ…と大蛇丸の面立ちをした人の皮が破られる。


捲られた顔の下には、見知らぬ若者が微笑みを浮かべて立っていた。























掴まれた手は氷のように冷たい。暫し愕然としていた彼は、第三者の口から発せられた言葉で我に返った。

「死にたいのか?」

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