暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第19話 ヴァリエール姉妹(長女抜き)
[9/15]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
った。

 妹が何時もの様に泣きついてきた。妹は「如何しても上手く出来ない事がある」と言った。私はその時初めて、人間には得手不得手があると学んだ。私は出来ない事が、人より多く時間(いのち)が少ないだけだと気付いた。

 それから私は、人を見る様になった。今まで有象無象でしかなかった使用人でさえ、観察の対象としては面白かった。私は人を見るのが楽しみになった。

 やがて私は、“人の数だけ心と人生が在るのだ”と知った。やがて私は“人の僅かな所作”から、その人が何を考えているか解る様になって行った。 

 人を理解出来ると、人に優しく出来るのかもしれない。私はその時その人に、言って欲しい事や言うべき事を言える様になって行った。自分でダメならば、大丈夫な人に頼むことも覚えた。

 気付くと自分の手の中には、大切な物ばかり残っていた。与えられたものや、いつの間にか持っていたものばかりだったが、私はそれに満足していた。

 …………ある男の子に出会うまでは。



 カトレアはそこで言葉を切り、私の右手を(もてあそ)び始めたました。時々上目づかいで、私の顔を覗き込んで来ます。私はカトレアの真意を読み取りましたが、流石に不味いと判断し首を横に振りました。

 私の反応にカトレアは不満の色を浮かべると、私の右手を引っ張って来ました。病弱な14歳の女の子と鍛えている8歳の男の子の綱引きは、女の子の勝利に終わりました。私が抵抗するのを、止めたからです。

 ベッドの縁に並んで座らされ、私は溜息を吐きました。カトレアの狙いは、自分の心音を私に感じさせながら話をする事の様です。副次的に膨らみ掛けの胸が手にあたり、私はドギマギしてしまいます。先程の綱引きに勝利していた場合、場がベッドから椅子に変わっただけでしょう。その場合、カトレアは私の膝の上に乗り抱きつきながら話をしたでしょう。そうなると必然的に、私の顔はカトレアの胸の中に……。私の内心は、勝ちを譲って良かったと言う想いと、惜しいと言う想いで複雑でした。するとカトレアは、私の耳に口を近づけて……。

「エッチ」

 ……と呟きました。私は居た堪れなくなり逃げ出そうとしましたが、時既に遅くカトレアに腕をホールドされていました。力ずくで逃げようと思えば逃げられますが、後が怖いので止めておきます。

 カトレアは一度深呼吸をすると、話の続きを始めました。



 私の男の子に第一印象は、良く分からない子だった。そう私が今まで見て来た事が、根底からで通じない子。

 私はその男の子に、当然の様に興味を持った。だから待っていた。その男の子が自分に会いに来るのを……。 

 でも男の子は、私に会いに来てくれなかった。他の皆は会いに来てくれたのに、その男の子だけは別だった
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ