ファントム・バレット編
Crimson Ammo.
急転直下
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れた。
ただその場にはモンスターの死亡を表す、光が舞っているだけだった。そして―――、
「さて……Are we having yet?」
対峙するのは彼の何倍もの巨躯を誇る統率個体。
巨大な戦斧を両手に1つずつ。
それを喰らえば彼の残りのHPなど、容易く吹き飛ぶ。
それでも彼は狂笑を止めない。タガの外れた《闘争心》は彼をただ前へと押し進める。
空手になった拳を突合せ、走り出す―――――
レイの残存武装――――ゼロ。
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都内某所―――高層レストラン《Perla》
仮想世界での戦いがあれば、現実にもまた戦いはある。
誰も望まずとも、水面下でのさぐり合いは既に始まっていた。
「よう、待たせたな」
「……全く、呼び出しておいて何様?」
「水城家次期当主様だ」
どや顔で即座にそう返す水城蓮に山東桜はガラにもなくこめかみを押さえた。彼女にとって数少ない天敵である(腕力で敵わないという意味で)義兄(歳は同じだが)に主導権をにぎられると、大抵ろくな事にならない。
「……それで、次期当主様は如何なる理由で私をこんなとこに呼びつけたのかしら?」
「気に入らなかったか?お前の好きなシュチレーションに合わせたのに」
「……………」
「……一応報せとこうと思ってな」
視線に冷気を込めたせいか、蓮はつまらなそうに答えた。
「親父……水城悠斗が近々帰国するそうだ」
暫しの沈黙の後、桜が震える口を開いた。
「……笑えないわよ。その冗談」
「わざわざこんなとこに呼びつけて冗談言うほど暇じゃねぇし」
ニヤリと笑う蓮の目は爛々と輝いている。……楽しみで仕方無いのだろう。
「……で、私にそれを話してどうするの?」
「おいおい。分からないフリは止せって。……脅迫に決まってんだろ。山東家への、な」
「……なるほど。得心したわ」
必死に冷静さを保つが、グラスを持つ手が震え、波紋を立てた。彼女が動揺する事はめったにない。しかし、聞かされた事実はそれだけのものだった。
「そうだ。それでいい。ちぁんと報告しろよ?旦那様に」
「……フン」
やはり来るべきで無かったと激しく後悔しながらグラスを口に運ぶ。
―――水城悠斗、またの名を《剣帝》。
その名は彼女―――いや、山東家にとって悪夢そのものだった。
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