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lost music
1話
1話 リンネ 1
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つの間に頼んだのか小さいパフェを頬張っていた。頬にクリームが

付いているのに気付きナプキンで拭いてやると、にこりと優しい笑顔を向けてきた。

「まぁそこは否定しない」

「今妙な間があったけど何かしてたのか?俺のレーダーにビンビン反応があるんだが。」

その無駄に高性能なレーダーとやらを使えばすぐに凛音が見つかると思うが、あえて口にはしないでおいた。

「凛音は既に見失ったけどどうする?まだやるなら柚子葉にも協力頼むけど」

「いや、今日はもういいや。一目見れただけでもラッキーと思うよ。んじゃ俺はこのまま帰るからデートを楽しんでこいや」

「毎回言うけどデートじゃな……切りやがった」

無機質な音が聞こえてきたので、柚子葉に携帯を返すとくすくすと笑っていた。

「ふふっ、またデートだって言ってたんだ。いつもそう言うよね佑介君」

「それ以外言葉を知らんのかって感じだな、頭の中デートしか無いのかあいつは。後お前のことマイスイートハニーって言ってたぞ」

「佑介君がそう言ってくれるなら女の子として自信が持てるかな。でもデートは遠慮したいかも……男の子って怖そうだし」

誰にでも話しかけてくれる気さくな面もあるが、浮いた話は一度も聞いたことがない柚子葉。大体噂になる場合は俺か佑介のどちらかであるのがオチである。

食べ終わったパフェグラスをカウンターへと持っていき、お金を払うと一緒に喫茶店から出る。悲しいが300円のパフェを奢る甲斐性すら俺は持ち合わせていない。

「それじゃ私はここで。また明日ね、隆明君」

柚子葉が駅へと歩みを進めるものの、くるりと振り返ると微笑んできた。

「佑介君は下心が見えるから嫌だけど……隆明君とならデートしてもいいかも、ね。」

小さく手を振って照れくさそうに言う柚子葉。


「だが、そんな柚子葉を見るのがこれで最後になるとは、俺は思いもしなかった。」

「あの、勝手に私を殺さないでもらえるとありがたいのですが」

照れ隠しのつもりでボケたのだが、受けなかったようだ。

柚子葉が改札を通ったことを確認し、俺は自分の家へと歩みを進めた。


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