第五十六話
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人さん、続きはあとにしてくれよ!」
苦笑いと共に二人を送り出し、俺と彼女は寄り添いながら城門に向かって歩みを向けた。
……城門まで戻ると商工会の代表代行と鍛冶屋が居て、俺たちに会釈すると口を開いた。
「将軍、これをお納めください。 我々からの気持ちです」
「?」
「街の者は皆言ってますよ、ダーナ守護将軍とね」
「いや、わたしはただの重騎士に過ぎません」
「……こういうのはね、自分で思うんじゃくて周りがどう思うかで決まるのさ」
レイミアはそう言うと我が事でもあるかのように嬉しそうな表情を浮かべた。
面映ゆくもあるが悪い気はしない。
「奥方の剣の修復はとっくに済んでましたが、立て込んでおり、お届けが遅くなって申し訳ありません。 ……ささっ、閣下、こちらをどうぞ」
鍛冶屋は使用人から受け取ると見事な盾を俺に手渡してくれた。
思ったよりもずっと軽く、握り部分のバランスも絶妙で取り回しに不便はなさそうだ。
続いて槍も受け取り具合を確かめる。
こちらもバランスの良い仕上がりになっており、自ら最前線に立つことの多い俺には武骨で実用性重視なこの仕事はありがたい。
「ありがたく頂戴します。 お気持ちに応えられるよう微力を尽くします」
「胸甲と肩当は先に詰所のほうにお届けしましたので、のちほどお検めください」
「何から何まで痛み入ります」
「他にご入り用の物があればなんなりと」
「……」
「ご遠慮なく申し付けくだされ」
「でしたら………」
アゼルとレックス、それにシグルドさんがダーナを離れて十日もしたころ、哨戒の騎兵が物凄い勢いで帰り着いてきた。
報告を受けると、西方から軍勢が迫っているということだ。
メルゲンへは早馬と伴に、かねてからの打合せ通りに狼煙を上げて危急の知らせを送った。
中継点はいくつもあるが、迅速にこの知らせが伝わることだろう。
すぐさま緊急の軍議を開き、兵達には出撃態勢を整えさせた。
この日を迎えるまでに義勇兵も新たに募り、数だけでいえばたいしたものだが、戦闘員として実用に耐える者は十人に一人居るか居ないかである。
だが、支援に割ける人数が多いので前々回の戦に比べればずっとやりやすくなるはずだ。
市民にも敵軍襲来の知らせが行われ、居住域ごとのグループで設営された地下壕への避難を次々と進めて行った。
「では、打合せ通りにお願いします」
「承知」
「心得た」
各自唱和し、行動に移る。
城壁に拠ったところで無差別に隕石を降らされるので城外で迎え撃つと方針は決まっている。
……敵の動き次第ではその限りでは無いが。
偵察の騎兵からの
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