辻の刺客がこんなに可愛いわけがない
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今、まさに後ろから強烈に首を絞められている。そう、普通の人間はこれだけで殺すことができる。魔力なしでも十分ってことだ。とりあえず、ボコボコにされる覚悟は必要不可欠な雰囲気だ。
「君、榎井麻義くんだよね? 自転車返してくれる?」
とりあえず、タップを繰り返すと両手は首から解かれたが、たまらず自転車ごと地面に倒れこんでしまった。
「あぁ!! 自転車に傷がつくじゃない!?」
そう言って、俺の体と自転車を軽々と持ち上げた。得体の知れない怪力女だ。魔法に違いない。しかし、サポート形の魔法だろうか? それともパッシブ効果のある魔法か?
「立てる? 足腰に異常はなさそうだけど」
刺客がさっきからものすごくフレンドリーで逆に怖いわ。油断した隙にしかけてくるつもりなのだろう。そんなまどろっこしいことしなくても、お前さんなら一撃で俺を倒せるだろうに。
「ねえ、本当に大丈夫?」
(近い近い、めっちゃ顔近いから!!)
「あ、ごめん」
目の前の女子の鼻先が、俺の鼻先に触れた。しかも頬を赤らめて触れた鼻先を押さえてやがる。何この可愛さ、刺客相手に違う意味でドキッとしたわ。
「とりあえず、ブリッツ学園に行こうよ。後ろに乗って」
えっと、ブリッツにかえって、集団でボコってやるからついてこいよって認識で良いのか? 良くそんな爽やかな笑顔でサラッと言えるもんだ。
乗らなければ即死だな。こうなっては乗る以外の道はない。隙を見て逃げることにしよう。
「じゃ、いくよ」
刺客は俺を乗せて、颯爽と自転車で走りだした。何この状況、誰か説明を求む。
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