黄巾の章
第9話 「準備はどうか?」
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バレなかった? 皆は大丈夫?」
「な、なんやなんや! 落ち着かんかい、自分!」
私が霞ちゃんの肩を揺さぶるように問いかけると、目を回したように慌てる霞さん。
「盾二たちが出発してからずっとこうなんだよ……あたしゃ、いい加減疲れた」
「あんさんなぁ……」
「ううう……」
だって、だってぇぇぇぇぇっ!
「それで、首尾はどうだったんだ?」
「なんや、翠も心配だったんか?」
「あー、もう桃香がずっと不安げにうろつき回っているから、あたしまで不安になっちまってさ……」
「……ほんまにあんたらは」
「いいから! ご主人様たちはどうだったの!?」
「あががががが、揺らすな、揺らすんやないぃ!?」
ぶんぶんと、霞さんの肩を揺さぶる私。
どうでもいいから、早く教えて!
「あんさん、意外と力強いな……大丈夫やよ。残した細作の第一報ではうまいこと中に入れたようや。あとは夜まで待って、仕掛けを待つだけやろ。今、朱里と雛里が麓に偽兵の仕掛ける準備をしとる。わかったら、桃香も休んどき」
「う、うん……」
そっか。うまくいったんだ。
よかった……
「しっかし、あんな手は普通思いつかないよな、普通」
「ああ。相手は人にだけ注意が向いているやろ。だからこそうまくいくやろうな」
「まあ、物資はもったいないが……あの仕掛けを一日で拵えるのは難儀したしなぁ」
「義勇兵に職人がいたのは幸いやったな。盾二も意外に器用やし、こ、こーさくいん? とかいってたか?」
「忘れた。まあ、いろいろできるってこったろ」
「せやな……」
翠ちゃんと霞ちゃんが話し合っている。
けど、私は盾二さんたちのことが心配だった。
どうか無事で……
―― other side ――
「郷循たちはどうしている?」
馬元義は、副官に問いかける。
物資を搬入して食事を振舞った後、副官に命じて監視をつけていた。
「は、彼もその部下もひとしきり飯を食った後、泥のように眠っています。相当疲れたようですね」
「そうか……どうやら官軍の間者ではないようだな」
「はあ。ただ、監視は続けておきます」
「うむ。それで彼らが持ってきた物は?」
「米などの糧食が二千俵、武器などの資材が三百箱。中身は報告どおり適当に詰めたようで中には折れた槍などもありました」
「そうか……怪しげなものはなかったか?」
「そういったものは見受けられませんでした。ただ……」
「む?」
「いえ、箱がいやにでかいなと思っただけです。まあ、入れるだけ入る箱を用意して詰め込めなかったのでしょう。中身より箱のほうが重いぐらいでしたよ」
「まあ、慌てて適当に積んだのだろう。そんなものをあそこから運んできた
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