黄巾の章
第9話 「準備はどうか?」
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のだ」
「いえ、お気にせず。慣れておりますゆえ。それよりも、仲間を休ませたいのですが……」
「ああ、すぐに案内しよう。お前達! 彼らの代わりに荷車を轢け! 我らの糧食を大事に運ぶのだぞ」
馬元義の言葉に砦の兵が数人がかりで荷車を曳いていく。
郷循はゆっくりと頭を下げた。
「お気遣い、感謝いたします」
「気にするな……お主は東の集積所から逃げてきたのだったな。どういう状況だったのか詳しく聞かせてもらおうか」
「はい。では、道すがらお教えしましょう」
馬元義と郷循が、横並びに歩く。
荷車を曳いた部隊は、ゆっくりと砦へと入っていった。
―― 劉備 side ――
スタスタ。ウロウロ。スタスタ。ウロウロ。
ピタッ。
「――っ! ……っ。 ――(ふるふる)」
スタスタ。ウロウロ。スタスタ。ウロウロ。
「……っ! (ぶんぶん)」
スタスタ。ウロウロ。スタスタ。ウロウロ。
ピタッ。
「――っ」
「だああああああああああああっ! うっとおしいぃっ!」
「はうあっ!?」
いきなりの大声に私が飛び上がる。
振り返ればそこには、いらついてこめかみに青筋を立てる翠ちゃんがいた。
「さっきからウロウロと……いい加減落ち着いて座れ!」
「で、でも、でも……心配なんだもん!」
「そりゃわかるけど……だからってここで一刻以上、ウロウロしていてどうなるもんでもないだろう!?」
「ええっ!? もうそんなに経ってたの!?」
「気付いてなかったのかよっ!」
翠ちゃんが叫ぶ。
うう……だって、だってだって!
「盾二に何度も言われただろう? 大丈夫だって……朱里や雛里もちゃんと納得して送り出したんだ。危険はあるとしても、あいつは無敵なんだろ? だったら少しは信じてやれよ」
「信じてるよ! 信じてるけど……それとこれとは別なの!」
盾二さんたちの強さは疑ってないけど……心配なんだもん!
「はあ……確かに人を率いるのは向いてないよな、桃香は。武人に任せたのなら後はどっしり構えていなきゃダメだろ。上に立つ者が不安げにしていたら、下の者は安心できないぞ?」
「うう……わ、私が向いてないのはわかってるよぅ」
でもでも!
心配なのは押さえようがないんだもん!
それにここには今、翠ちゃん以外は誰もいないし……
「どの道、今日の夜には結果が出るさ。今のうちにちゃんと休んでおかないと」
「うん……霞さんが戻ったらそうする」
はあ、と力いっぱいため息を吐く翠ちゃん。
むう〜……
「帰ったで〜」
天幕の入り口がばっ、と開いて霞ちゃんが戻ってくる。
「あ! お帰りなさい! どうだった?
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