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なりたくないけどチートな勇者
38*出発準備
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ね……。ちょうどいいです、私はあなたが嫌いなのでこのままここで火葬してあげます」

やっぱり、覚醒したシルバちゃんでしたか。

綺麗なフォームの跳び蹴りをラルムの側頭部に決めた彼女は、倒れたラルムの頭を踏み付けながらそう言うと、手からいつもの赤いナイフを……あ、ヤバ。

「さようなら、下劣で醜いごみ蟲さん」

「はいストーップ。今ここでそーゆー事やるのはやめようね」

自分はそう言いながら、振り上げた彼女の腕を掴んで頑張って止めた。

危ねぇ危ねぇ。
ここで流血沙汰なんて、洒落にならんよ。

ほら、シャール君なんかもうラルムが死ぬと思って目をつぶってしゃがみながらガタガタしてるし。
ラルムに至ってはなんか顔が青からむしろより白くなっていって、いつもの威勢はどこへやら、腰抜かしたようにへたりこんでやがる。

「わかりました。では今晩、こいつが寝てる時に襲撃して処刑します」

「うん、1ミクロンも自分の言いたい事が伝わってない。だから、殺すなってーの」

ピシッ

「あう!!」

デコピンをくらって可愛い悲鳴をあげるシルバちゃんの腕を離し、自分は情けない二人の方へと向き直り、こう告げてみた。

「君達が自分に付いてくるってゆーことは、この娘とも一緒に旅をするって事だけど……。大丈夫?」

するとどうだろう。
彼らはもっそい顔になったと思うと、即座にとれそうなくらいに首を左右にふりはじめた。

「なら、ちゃっちゃともどりなさい。じゃないとゼノアにさっきの事包み隠さず報告すんよ?ちなみに知ってると思うけど、あいつはこの娘の兄貴だから、もしかすると……ねぇ」

「し、失礼しました!!」

「くっそ!覚えてろよ!!」

そう言いながら二人は全力で逃げていった。
あ、シャール君こけた。

しかし……ラルムよ、貴様はどこの三流の怪人だ?
五色のレンジャーはどこにもいないぞ?

……まぁ、いいや。
それより仕事だ仕事。

シルバちゃんが小声で『……あの害虫、いつか潰す』とか言ってるのを自分はしっかり聞いてしまったので、そこも気をつけておかないとならないが、今はスルーしよう。
あとでしっかり釘をさしておかなければ。

……別にもう面倒になったからではない。多分。

「あー、じゃあ自分、仕事だから」

「私もです。一緒に行きましょう」

一緒にって、今目的地の目の前なんですが。
まぁ、小さい事はどーでもいいや。

そう思いながら自分は、扉を開けて部屋に入っていくシルバちゃんの後に続いてエリザのところへと向かっていった。


……さぁ、ここで一つ自分は失念していた事がある。
ここで自分にあの二人が大声でさっきの話をしていた事だ。

そうここ、エリザの部
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