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形而下の神々
過去と異世界
奴隷と傭兵
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ベルダから奴隷都市オリオリへ、片道10日かけて子供達を守って頂きます」

 そこで例の子供達がズラリとやって来た。が、どの子も奴隷と聞いた感じからはどうにも想像できない感じの身なりをしている。


「なんか思ってたのと違うな」

 グランシェにコソッと話し掛ける。


 俺のイメージでは手足に鎖でも繋がれて、ボロボロの布キレだけを身につけて檻にでも入れられてるのかと思っていたのだが、普通の洋服を着て、中には武器を携帯してるヤツも居る。


「家出少年みたいだな」

 どうやらグランシェも同意見みたいだ。


「あんなの逃げ放題じゃね?」

 本当に、見た感じ何にも彼らを束縛しているようなものは何もないのだ。

「まぁ色々と仕掛けがあるんだろうさ」

 グランシェは気軽な感じでそう言ったが、俺としてはそっちの方が嫌だ。
 だって、いつでも逃げられるような状態であるにもかかわらず逃げないという事は、それすなわち逃げたいとも思わないような好待遇なのか、逃げられないような弱みがあるのか、逃げるなんておぞましくて出来ないほどの何かがあるのか、だ。

 好待遇何てことは考えにくいし、そうなるとやはり奴隷制度は結構なわけありだという事になる。何とも恐ろしい話だ。


 と、そんな事を思っていると、例のマストルとか言うジィさんが口を開いた。


「今回のお仕事には私がマスターとして同行します。私の身の安全はこの両脇に居る者が守るので、皆さんは奴隷達を第一として下さい」


 マストルとやらの両脇の壮年の紳士は二人とも傭兵なのか。もしくは彼の戦闘奴隷というやつかも知れない。って言うか俺の仕事は子供を守る事なんだからジジイなんて正味、どうでも良いけどね。


「ご存知の通りオリオリへ続く道、アロン街道には山賊、魔物の他に大きな脅威があります」

 しかもそのジジイ、マストルが何やら不吉極まりない事を口走り始めた。

「アロン街道の東にある丘陵地帯は亜人、狼人の集落があります。最近は聞きませんが過去に彼等に襲われて壊滅した商隊は数知れず、依然として狼人は丘陵地帯に棲息し続けています」


「オイ、何だよ狼人って」
 小声でグランシェに聞く。

「俺の情報網に寄ると、狼男的な奴らだな」
「何の情報網だよ」

 グランシェの言葉から、早くもチート的な雰囲気が流れ出しているが、彼曰く、この情報網とは「努力と汗の結晶」らしい。

「傭兵館の仕事掲示板に『狼人討伐』があった。特徴とかも書かれてたけど忘れたよ」

 今回の情報網は、どうやら傭兵館だったらしい。

「狼人と魔物って何が違うんだ?」
「知らないよそんなの」


「そうか……」
 一番大事な所がいつも抜けて
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