過去と異世界
奴隷と傭兵
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ほら、二人分の前金だとさ」
受け取った袋には、見覚えのある数字が彫られたコインが入っていた。
「5000円コイン?」
「円って言ったら日本の金だろ? ここじゃよく分からん単位だぞ」
思わず通貨の単位を円としてしまった。少し前なら確実にドルと言っていたが、ホームシックなんだろうか。
「いや、まぁな。合計で53万コインあるみたいだな」
ジャラジャラと出て来るコインの数を数えると一つの袋に53万コインが入っていた。
少しややこしい気もするが、呼び方が分からんのでとりあえず通貨の単位は「コイン」と呼ぼう。
「53万!? 大金じゃないか!!」
金を数えたグランシェが大喜びしている。
しかし……グランシェは甘い。
「甘いなグランシェ。この世界での53万コインは一体どれほどの価値なのか知ってるのか?」
「え……まさか激安なのか?」
そう。現代に為替がある様に、現代とこの世界での通貨の感覚は全く違うものなのだ。
「色んな店を見て回ってきた。レートで言うと大体1コインで0.1セントだな」
日本円にすれば1円で10コイン。要するに前金で53000円程貰った計算になる。
そこそこの稼ぎだ。
「530ドル・・・まぁまぁだな」
グランシェはそう呟いた。あの野郎は高級取りだからな。正直足りないとでも思ってるのか。
俺にはこの金は有り難い限りなんだけど。
その後、二人揃って30万コインのテントと寝袋セットを買った。
実質3万円程度だからこれが妥当だろう。
「あとは……タイチの鞄と武器だな」
「グランシェは良いのかよ」
聞くとグランシェは自慢げに言った。
「俺にはこれがある」
ヤツは自分のマントとグローブ、そして投石紐とマンゴーシュを見せてくる。
あのマントは神器で、4次元ポケットみたいな代物だから鞄は要らないし、装備もヤツが戦う分には充分だということだろう。全く、大したサバイバル魂だ。
「というかそのマントに俺のモノも入れてくれよ」
「いや、俺とタイチが離れてる時はどうするんだ? 大事でもない物なら持っておくが、武器や金、最低限必要な物は自分で持たなきゃ」
確かにその通りだ。
「あ、そうか。迷子になったら帰れなくなっちまうな」
冗談混じりに言ったが、本当に迷子になったら大変だろうな。
俺とグランシェの持ち金は合わせて残り46万コイン。
最初の前金が各自53万コイン。合わせて106万コインから、30万のセットを2人分買ったから結局46万コインだ。
「460ドルかぁ、良い物は何も買えないな」
グランシェが残念そうに呟いた。
「良
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ