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第五十六話 鳥籠に囚われた者たち
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ておいたらどうですか?」

その声のした方を向くと見慣れない女性が腕を組みながら左肩をドア枠に預けもたれ掛かっていた。その女性はこの世界観に合わないスーツ姿で、顔立ちもオベイロンのように作られた美しさではなく、現実世界のままであることがうかがえた。
青みを帯びた黒髪をハーフアップに仕上げ、ルナとアスナを見る黒色の双眸からは慈しみさえ感じられる。
しかし、ルナが最初に抱いた印象は見た目からとれる印象ではなかった。

「(―――この人っ!?)」

危険だ。反射的にルナはそう思った。強いて言うならば剣士の勘だろうか。自分では絶対に勝てないような領域にいる人物だということがルナは無意識に感じていた。確証があるわけでもない。だが、そう思わざるを得ない何かがこの人物にはあると直感していた。

「君か・・・まったく、何度言ったらわかるんだい?その姿でここに来るのはやめろと言ったはずだろう?」

「ナメクジになるのなんて御免です」

「・・・まぁ、いい。それで一体どうしたんだい?」

「状況に変化があったのでお伝えに来ました」

「・・・今行く。指示を待て」

「了解♪」

それだけ言うと、女性はウインドウ画面を操作してログアウトしていく。残ったオベイロンはアスナの髪を撫でながら猫撫で声で囁いた。

「――そう言う訳だから、君が僕を盲目的に愛し、服従する日も近いという訳さ。次に会う時はもう少し純情であることを願うよ、ティターニア」

それだけ言うと、身を翻しドアを出て行く。残った鳥籠には静寂が訪れる。



『お前の剣は綺麗だ。まっすぐで穢れがない。だからこそ、必要以上に“こちら”側に来てはいけない』

付き合い始めて間もない頃、どうやったらあなたのように強くなれるのか聞いた時、そう言われたことがあった。その時の彼の瞳から読み取れるものはなく、その表情から読み取れるものはある種の儚さだった。すぐにでも消えてしまいそうなその表情を見て、恐くなってしまった私は彼に抱き着き思わず聞いてしまった。

『どこにも、行かないよね?』

それは彼を縛り付けてしまう言葉。おそらく彼が好かない言葉。口走ってから自分が何を言ったのか理解した私は咄嗟に訂正をしようとしたが、言葉が見つからずただ言いよどむしかなかった。そんな私に彼は――

『それは約束できない。でも、必ず帰ってくるから』

と言って頭を撫でてきた。やさしく、髪を梳かすように。愛しみを宿した瞳で私を見つめながら、微笑みながら。私は、そんな彼に甘えることしかできなかった。

時々、彼のことがわからなくなる。

戦っているときは、いつだって憂いに満ちた瞳をしていた。

強敵と知れば、ランランと輝いた瞳をしていた。

私と共にいるときは、いつ
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