第五話 Community (前編)
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吊り上げて睨んでいる。
「おやおや〜?」
「風紀委員ですの。まずは友人の窮地を救っていただいた事は感謝いたしますの。ですが貴方を銃刀法違反、危険物所持、殺人未遂、その他諸々の事情をこれからゆっくり聞かせていただくために拘束します」
「大人しくしてくださいな」と少女は警告する。
月日もこの少女が空間移動能力者(テレポーター)であり、かなりの実力者であると理解している。
「やりすぎた事は謝る。だが、捕まる訳にはいかんのよ。お義兄さんはこう見えても暇じゃないんでね」
「ならさっさと聞かせていただきましょうか? その腕章と組織とやらの事を」
状況は正直悪い。このまま捕まれば、自分達の苦労は水泡と帰してしまう。
冷静を装ってはいるが内心はかなりの焦りがある。
だが女神は月日に微笑んだ。
「白井さーん!」
「黒子!」
銃声を聞きつけて頭に花を咲かせた少女と友達思いのお嬢さんがこちらに駆けてきた。
「さっきの銃声って―――」
(チャンスッ!)
走ってきた二人に風紀委員の少女が気を取られた一瞬の隙に月日はベルトのホルダーから素早くある物を取り出した。
それを思いっきりアスファルトに叩きつける様に投げた。
「ちょっと、黒子!」
「はい?」
風紀委員の少女が何事か理解する前に周囲を白い煙が覆いつくした。
「ゲホ…! ゴホ…! 何ですの?」
「ケホ、ケホ…!」
舞い上がる煙を吸い込んで咳き込む少女達。
視界が白一色に染まる中で、
「あはははぁ〜。あばよ、とっつぁん!!」
声高らかに某V世みたいな台詞を残した人物がいた。
手錠には重みを感じる。ツインテールの少女は白の世界で手錠を見た。
そこには手首から先がある。だが、手首から手前がない。
某V世と酷似した手錠抜けの方法である。
その手口と捨て台詞にイラッ、としたのかツインテールの少女は叫んだ。
「誰が…、誰がとっつぁんですのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!!」
そんな絶叫が今度は虚しく響いたのであった。
………
……………
…………………
そんなこんなの経緯を経て、灯影月日は職員室に呼び出されているのだ。
「もう一度聞くぞ。何やってんだ、灯影?」
「…………」
沈黙を貫く月日に担任の教師、焼ヶ野火縄(やけの ひなわ)は「やれやれ…」とボサボサの赤黒い髪を掻いた。
職員室に呼ばれた理由は簡潔だ。『そちらの学校に容疑者がいるので一度取調べを行いたい』的な警備員から通知があったためだ。
火縄も『そんな馬鹿な話…』ではなく、『問題起こすなよ。俺の立場に響くだろう…』と思ってしまう
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