第五話 Community (前編)
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それがあれ程までの出力を持っているのか。それともデータが古いのか。考え出したらキリがないので雪華はそこで考えるのを止めた。
『前もって渡したデータ見てなかったのぉ?』
「そうではありません。ただ聞いただけです。それでは―――」
『はいはぃ、警備員(アンチスキル)への通報は終えてるよぉ』
確かに遠くの方からサイレンの音が聞こえている。こちらへ向かっているようだ。
「ありがとうございます」
『なんのこれしきぃ。あ、それと追加の案件でねぇ。さっき月日さんから連絡があってぇ、迎えに行ってもらいたいんだってさぁ』
「新規の構成員ですか?」
『そーだよぉ』
「………」
雪華は思ってしまう。自分で言うのも何だが、自ら望んで入りたがる人達は馬鹿なんじゃないのかと。
興味本意にしてはハイリスク・ローリターンな場所だ。月日本人は“保険”をかけている様だが、これ以上人数が増えるのはあまり好ましくないと考えてはいる。
そうならないために、自分という存在がいるのだとしても……。
しかし、人数が多い事はそのまま月日の理想のための力になる。
もう少し様子を見てから、改めて進言しよう。雪華はそう決めた。
「解りました。これから向かいます。誘導(ナビ)をお願いします」
『ラジャーァ。まずはそこからぁ――――』
雪華は誘導に従い、走り始めた。その姿は夜の闇へと消える。
それから数分後、警備員は匿名の通報があった現場に到着。内部に突入してみると、泡を吹いて気絶した金髪の男が逆さ吊りになって出迎えた。他にも赤毛と青毛の男達も頭陀袋に仲良く収まって壁からぶら下がっていた。
最初は困惑していた警備員達も情報通りであり、被害届も出ていたためそのまま逮捕した。
その中の女性警備員は「またアイツ等じゃんよ……!」と漏らした。
余談だが、逮捕された三人は大小の外傷はあったものの、身体的欠損は見られなかったと言う。
………
……………
…………………
現時刻は21:00.
こんな時間でも、コンビニだけは明るい。
このとある一角のコンビニも例外なく営業している。
店内に客は少ない。この時間でも学生が来ることは珍しくない。今も二人程来店し、一人は雑誌を立ち読みし、一人は棚の商品を物色している。
そこに新たな客。店員の挨拶もそこそこに客はパックジュースの置いてあるエリアへと進んでいった。
在庫のチェックをするためか店員はレジの奥へと消え、作業を開始した。
それを見計らったように一人の客が、後から来た客の横に並ぶ形でパックジュースを物色しだした。
すると、後から来た客、雪華はポツリと呟いた。
「何かオス
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