暁 〜小説投稿サイト〜
とある組織の空気砲弾(ショットガン)
第五話 Community (前編)
[18/20]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
心配をしている場合ではないと言うのに…・・・。

「え!?」

 一瞬…。少女から視線を外したその一瞬…。目の前に、宙に浮く少女の膝が。吸い込まれるように青毛のこめかみを打ち抜いた。
 その横に雪華は軽やかに着地した。

『―――――――何が、起きやがった?』

 一部始終を見ていた金髪ですら何が起きたのか、少女が何をしたのか理解する事ができなかった。
 端的な表現をするなら『気付いたら二人共倒されていた』と言ったところだろうか。
 金髪は、震える唇で疑問を投げかけた。

「お、お前……予知能力者じゃなかったのか?」

 すると雪華は返答した。

「予知能力? いつから私が予知能力者だと錯覚していました?」

「……なん……だと!?」

「私は一言たりとも自分が予知能力者だと言った覚えはありません。それなのに勝ち誇ったように騒いで自分達の能力を暴露する。聞いているだけで眠くなりそうでした。そもそも、組織(わたしたち)が貴殿方の悪事を調べ上げているのに、能力を調べていない訳がないでしょう…。」

 やれやれ、と雪華は首を振った。聞いた本人は言葉も出ない。

「あぁ、それとですね」

 再び、少女の声色が低く、冷たくなった。
 無意識だろう。金髪の体が強張った。
 反射的だろう。全身の毛穴から汗が噴出した。
 もう自分の意思では、立つ事も逃げる事もできない。

「私はこの世で一番嫌いなモノがあります……」

 金髪に歩み寄りながら、雪華は鉄パイプを拾い上げ、

「それは、『お嬢様』と呼ばれる事です」

 躊躇う事なく金髪の股間目掛けて突き立てた。



………
……………
…………………

 現時刻は20:47.

 廃屋から出てきた雪華はインカム付き小型通信端末を使い、主水と連絡を取っていた。

『お疲れさん。セッちゃんにしては連絡が遅くなぃ?』

「色々やっていましたからね。ですが、案件(オーダー)は無事完遂しました。USBメモリは壊されてしまったので、データは直接、警備員詰め所にでも送っておいてください」

『ラジャーァ!』

「あ、すいません主水君。一つ確認が」

『何ぃ?』

「あの三人うち二人、“強度(レベル)”は何ですか?」

『? ちょっと待ってぇ』

 通話状態で主水が無言になった。おそらくデータを呼び出しているのだろう。

『あったあったぁ。え〜とねぇ……二人共、異能力者(レベル2)だねぇ』

「“そうですよね”……」

 雪華は少し思い返していた。侮っていた。油断していた。それは認めるしかない。
 だが、違和感をより濃く感じたのは金髪が暴露(せつめい)し終えてからだ。
 異能力者(レベル2)………。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ