第五話 Community (前編)
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さに深く後悔してくれ」
リボルバーの撃鉄がカチャ、という小さな音を立てて引き起こされる。
長い人差し指が引き金にかかり、後は手前に引くだけで……。
「ま、待ってくれ…!」
ようやく男の口から紡がれたのは往生際の悪い言葉だった。
さらにその言葉は続く。
「悪かった、謝るよっ! あのガキ共にも、ちゃんと謝る! そ、そもそも……、俺は嫌だったんだ強盗なんて! きっとこうなるだろうって思ってたんだ。だから―――」
「突然ですが問題です」
台本にありがちな台詞を並べる男の言葉を月日が遮った。
「よく喋る男だ」と吐き捨てながら。
「さっきの一発が大体“五tトラックと正面衝突程度”の威力がありました。それを―――」
月日は口元が裂けんばかりの邪悪な笑みを浮かべ、
「人間の頭蓋程度の強度にこの至近距離から受けたら……、どうなってしまうでしょう」
「――――――!!!」
再び男は言葉を失った。
そんなもの小学生でも解る。
プチトマトを戦車が踏み潰す感覚で中身が零れる。
それで済めば、どんなによかった事か……。
「では、正解VTRを見てみましょう」
「ま、待ってk―――」
「待つか、馬鹿が」
―――バァァンッッ!!!
無情にも銃声が響いた。
こんな場面を他の誰にも見せたくはない。
見てしまえば、驚きで言葉を失うだろう。
「………」
月日は見下すように、再び動かなくなった男を見下ろす。
まるで、哀れむように……、
「…………………………(ブクブクッ)」
足元で蟹の様に口から泡を吹き出して気絶している哀れな男を月日は見ている。
「期待を裏切って悪いが、ただの“空砲”じゃ人は死なんのよ」
月日は初めから能力を使うつもりはなかった。
彼のリボルバーは改造を施してあっても所詮は玩具。弾を装填しない限りはただの空砲でしかない。
運動会の出店で売っている玩具の銃と大差ない。
「しっかり後悔して、更生してくれよ。お義兄(にい)さんとの約束な?」
そんな台詞を残し、満足した様子でその場を立ち去る……
――――――ガチャリッ!
「ほへ?」
立ち去るはずの月日は素っ頓狂な声を上げ立ち止まった。
その原因は、手首に感じる“金属の輪”の感覚。もちろん月日は腕輪など身に着けてはいない。
月日は恐る恐る自分の手首に目をやった。
その手首にはしっかりと“風紀委員(ジャッジメント)の手錠”がかけられていた。
その反対側をとある少女が掴んでいた。
少しウェーブのかかった髪をツインテールにした風紀委員の少女が眉をやや
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