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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第四話  誓い
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やっぱり私は、わたしは……っ。





 ルイズが石ころ目掛けて杖を振るった瞬間、士郎は嫌な予感を感じると同時に全身を強化すると、投影した剣を握り締め教壇に立ち尽くしているルイズに向かって駆け出した。

 ―――ドンッ―――

 爆音に縮こませていた身体をびくりと震わせたルイズは、襲い来るだろう衝撃に身構えたが、一向に襲ってこない痛みに訝しみ、恐る恐ると目を開けると、そこには両手を広げ、背中で爆発を受け止めた士郎がいた。

「ルイズ、無事か?」
「……ッ」

 呆然と士郎を見上げていたルイズは、不意に苦しげに顔を歪めると俯いてしまう。

「いっ、一体何事ですか?」

 ルイズと一緒に士郎から爆発から守られていたシュヴルーズが、爆音に目を白黒させながら士郎の背後に目をやると、そこには地獄絵図が広がっていた。
 教室は、まさに阿鼻叫喚の大騒ぎであった。マンティコアが飛び上がって窓ガラスを叩き割り、外に逃げ出し。割れた窓から巨大なヘビが侵入し、誰かの使い魔だろうカラスを飲み込み。

 ――ギャアギャアギャア――グルルル――バクっっ!――
 ――パネェパネェ――パァ・・パァネェ〜――
 ――ああっ僕のカッペェーが〜――
 ――ああっサラマンダー、そんなもの食べちゃダメよっ!ほらっペッしなさいペッ――


 あまりの惨状を前にシュヴルーズは、『きゅ〜』と言いながら倒れてしまう。
 士郎は倒れたシュヴルーズを支えながら収拾も目処が全く付かない教室を見回し、

「あ〜……流石にこれを黙らすには無理だな」

 溜め息をついた。



 日が沈もうとしている時間、生徒が誰もいなくなった教室の中、二つの人影が動いている。
 人影は、箒を持って無言で地面を掃わいているルイズとテキパキと掃除している士郎であった。
 2人はあの騒ぎのあと、教師に罰として放課後教室の片付けを命じられたのだった。
 教室の掃除が一段落すると、士郎は片付けをしている間、全く喋らずにいたルイズ話しかけようと口を開くと。

「ねぇ、シロウ……私が何で“ゼロのルイズ”って呼ばれているか分かる?」
  
 士郎に振り向いたルイズの鳶色の瞳には、今にも溢れそうな涙が溜まっていた。

「……」

 無言の士郎に、どこか歪んだ笑みを向けながらルイズは自分からその答えを口にする。

「一度もないのよ。私は生まれてから今まで、一度も魔法を成功させたことが無いの……」

 瞳から溢れた涙が微かに赤くなった頬を滑り落ち、乾いた石畳の上に水たまりを作り始める。

「小さな子供にも使えるコモン・マジックでさえ使えない」

 ルイズは震え始めた体を抱きしめながら続けた。

「どんな高名な先生に教えを受けても失敗して…
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