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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第三話 異世界から来た男
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師は同じじゃないの?」

 ルイズのその問いに士郎は、首を左右に振り質問に答えた。

「全然同じじゃない。魔法使いと魔術師は全く別物だ」

 ルイズは指を顎下に当て、小首を傾げながらさらに質問した。

「どう違うの」
「そうだな……簡単に言えば、過程を省いて結果を出すことができるものが魔術で、それができる者達を魔術師。どんなに時間と金を使っても、出来ない事柄を起こせるのが魔法。その魔法を扱うことができる者が魔法使いってところか」
「同じように聞こえるんだけど?」

 ルイズがますます分からないと言ったように傾げていた小首をさらに傾げた。

「全然違う。魔術は時間と金を掛ければ似たような事が出来るが、魔法と言われるものはどれだけ時間と金を掛けても再現することは不可能だ」
「う〜ん、やっぱりちょっと分かんないわよ……具体的にどんなのがあるの?」
「全部は知らんが、そうだな、例えば魂の物質化……」
「魂の物質化?」 
「あとは……並行世界への移動とかか」
「並行世界への移動?」

 士郎の言った例えにルイズは、両手を頭にあてしゃがみ込み、うんうん唸り始めた。

「う〜ん、う〜ん……あ〜もうっ!! 全っ然意味分かんないわよっ!!」

 ルイズは叫び声を上げながら立ち上がり、士郎に指を指しながら詰め寄ってきた。

「あんたねぇっ! さっきから意味の分かんないこと言ってないでよっ!」

 士郎は指を突きつけながら詰め寄ってくるルイズを、右手で頭を抑え込み、近づけないようにした。

「ふみゃっ」
「落ち着けルイズ。意味が分からなかったら分からなくていい。ただ、まずは俺がいた世界にも魔法使いはいたが、この世界の魔法使いのように、堂々としていなかったということを分かってくれればいいんだ」
「む〜……どういうことよ?」

 ルイズは士郎の手をどかしながら、上目遣いで士郎を覗き込んできた。

「この世界の魔法使いたちは、自分たちは魔法使いだと言って世間にいるみたいだが、俺がいた世界では、世間から隠れて存在している者達なんだ」
「それで」

 続きを促すようルイズが相槌を打つと。

「ああ、それでこの魔法学院? の人達が魔法のことを全く隠しもせずに話したりしていたのを見て、変だとは思っていたんだが……空に二つの月があるという決定的な事から、ここが異世界だと確信した理由(わけ)だが……」

 ルイズはいきなり話を止めた男に、少しイライラしながら、続きを話すよう促しながら、士郎にまたも詰め寄った。

「それでっ、確信したからどうしたのよっ。あのねぇシロウ、私はさっきから、あなたがなんで私の使い魔をやることを承諾したのか、その理由を聞いているのに、意味分からないことをさっきからグチグチと、私を煙
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