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剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第二話 あなたのなまえは……
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イズは、男の言葉に怒ればいいのか呆れればいいのか分からず、微妙な顔で男の差し出した手を見つめていた。

「まぁ、もちろんそれだけじゃないがな」

 そう言って男は、ウインクしながらルイズに笑いかけた。

「それだけじゃないって?」
「まぁ、こちらにもいろいろあるんだよ」

 ルイズは、そう答えた男を一度睨みつけると、

「そのいろいろっていうやつは、後でキッチリ聴かせてもらうからねっ」

 と言い、男と握手をするために手を伸ばしたが、

「そういえばあなたの名前を聞いてなかったわね」

 というルイズの言葉に、男は握手をするために伸ばしていた右手で一度顔を覆った後、もう一度ルイズに手を伸ばした。

「ああ、すまない忘れていた」
「別にいいわよ、それであんたの名前は?」

 ルイズは、男の手を握りながら名前を聞いた。

「ああ、俺の名前は―――」





「ハァハァ……ハァハァッ……ミス・ヴァリエール……急ぎすぎですよ……」

 コルベールが保健室に着いた時、ドアが壊れて、中からミス・ヴァリエールと聞き覚えのない男の声が聞こえてきていた。
 コルベールが壊れた入口に手をかけ中を覗くと、召喚された男がルイズと握手をしている場面が見えた。
 その光景をコルベールは生涯忘れることはなかった。
 窓から差し込む光に照らされた、小柄な美しい少女と赤い騎士が握手を交わすその光景は、これから始まる新たな伝説を祝福するように、さながら一枚の絵画の如く美しかった。
 

「―――衛宮士郎(エミヤシロウ)だ」

 
 
 




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