第一章 土くれのフーケ
第二話 あなたのなまえは……
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と呟いた。
「人間の使い魔何て聞いたこともないけど、サモン・サーヴァントで呼び出されたからには、あなたは私の使い魔なのよ」
いきなり使い魔になれだなんて言われても、納得できるはずもないだろうけど、私も後がないし……。
ルイズは内心男に対し、後ろめたい気持ちになりながらも、それを悟られないように、精一杯虚勢を張りながら男に話しかけた。
「もう、使い魔の契約は済ませてあるし……どうしようもないわよ。諦めて私の使い魔になりなさい」
使い魔か……。
目を閉じ、この世界にはいないだろう人達の事を思い浮かべ……目を開ける。
視線の先には綺麗な鳶色の瞳が不安気に揺れている。
……戻れば……迷惑をかけるしな……
アレを片付けるためとは言え、随分と無茶をした。戻れば自分に関わる人に迷惑を掛けてしまう……なら。
ルイズの言葉に男は顔を上げると、しかしルイズの予想のしていなかった答えを出した。
「いや、使い魔になるのは吝かでは無いよ」
「ふぇっ」
男は今度はルイズの反応に笑うことなく、ルイズの顔をしっかりと見て。
それに、この子には―――。
「確かにいろいろ言いたいことはあるけど……君が助けてくれたんだろう」
「助けた?」
「死にかけていた俺を助けてくれたんだろう」
命を助けられたからな。
男の言葉にルイズは、目を伏せ顔を左右に振って答えた。
「いいえ、私は何もしていないわ……何も出来なかった」
男を召喚してからの3日間、男に対し何も出来ず、ただ見ているしかなかった自分を思い出し、落ち込むルイズに、男は笑いかけ。
「いや、助けてくれたよ。確かに傷の治療をしてくれたのは君じゃないかもしれない」
男はベッドから立ち上がり、ルイズの前まで歩いてきた後、ルイズと視線が合うように膝をかがめる。
「でも、寝ている俺の横で、ずっと話しかけていたのは君だろう」
「えっ何で―――」
「知っているのか、か?」
ルイズは不思議そうな顔をして男を見ると、
「聞こえていたからさ」
「聞こえていた?」
「ああ、ずっと聞こえていたんだよ、君の声がね」
そう男は言うと、ルイズの頭の上に手を置き、優しく撫で始めた。
「あっ」
ルイズは一瞬ビクリと体を震わせたが、男の手を振り払う事無く身を任せていた。
「君が俺のそばでずっと声を掛けてくれたおかげで、俺は生き残れた」
そう言って男は、膝を伸ばして立ち上がってルイズを見下ろし、右手を差し出しながら答えた。
「だから君は俺の命の恩人だ、その恩を返すために使い魔になるなら、文句はないよ」
「なっ、恩を返すためだけに使い魔になるっていうの……」
ル
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