第一章 土くれのフーケ
第二話 あなたのなまえは……
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少女が、百六十センチに満たない小さな体を、精一杯大きく見せながら、いきなり文句を言ってきた。
だが、正直に言って怖いという気持ちは全くなく、ただ可愛らしいと言う気持ちだけだ。
そんな気持ちが通じてしまったのか、少女の目がさらに険しくなり、さらにくって掛かろうとしてくる。
あ〜…と、もしやこの偉そうな女の子がミス・ヴァリエールか? だが何で怒っているんだ? はぁ、まあいい。まずは……。
「確か、三日だったかな?」
「ふぇっ、な、何で知っているの?」
一旦落ち着かせないとな。
機先を制し、少女を一旦落ち着かせようと考えた男だったが、あまりにもすっとんきょうな声を少女が上げたことから、つい吹き出してしまい。 それを見て、からかわれていると勘違いしたルイズは、男に向ける目つきをさらにきつくする。
ルイズの纏う雰囲気に既視感を覚えた男は、
あっ……いかん。
次に起こる事を予想し心の中で身構える。
「何笑っているのよっ!!」
思いっきり怒鳴りつけるも、男に堪える様子はなく、ますます男の笑みが強くなる。
どこかの誰かさんに似ているが……まぁ、あの赤い悪魔に比べれば可愛いものだ。
手を腰に当て、高らかに笑う赤いトレンチコートを着た女性の姿が脳裏に浮かび、背中に薄ら寒い汗が流れるのを感じ、た男は、顔に浮かんだ笑が凍り付くと、
「い、いや、すまない。別にからかったわけではないんだ」
両腕を少女に向け、何故か焦った様子で落ち着せるように両腕を上下させ。
「君がここに来る前に、髪の長い女性が来てな、そん時に俺が3日間寝ていたことを教えてくれたんだ」
と釈明した。
「? 髪の長い女性……まあいいわ。いい、わたしの名前はっ――」
「ミス・ヴァリエール―――だろ」
「ふぇっ、なっなんで知ってるの?」
「ぷっ」
先ほどの繰り返しのようなやり取りに、男はまたも吹き出してしまった。
いや、随分と可愛らしい女の子だな。冷静に考えれば、俺に寝ていた時間を教えた女性から名前を聞いたと分かるものだが。それほど緊張しているのか?
ルイズは走ったことにより上気した白い頬をさらに赤くすると、男をまたも怒鳴りつけた。
「何笑っているのよっ!!」
「くくっ、いや、すまないな。本当にからかっているつもりはないんだ。それで、君がミス・ヴァリエールでいいんだな」
男は笑いながらも、ルイズに対し問いただした。
「えっ、ええそうよっ!!」
ルイズは男の問いに気を取り直し、その小さな胸を張ると。
「私の名前は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。トリステインが誇るヴァリエール家の三女よっ!!」
と勢い
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