第一章 土くれのフーケ
第二話 あなたのなまえは……
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顔でベッドの上に座っていた。
……ハッハッ……ハッハッ……
「ミス・ヴァリエールッ!待ちなさいッ、危ないですよっ!」
廊下の上を必死に走っている少女がいる。手足を精一杯に動かし、もっともっと早くといった様に走っている。
「そ、そんなに急がなくても大丈夫ですよっ!」
そんな少女の後ろを、頭が寂しい中年の男……コルベールが汗だくになりながら追いかけていた。
端から見れば、まるで、変態中年が少女を追い回す一幕のようであり、何も知らない人が見れば、即通報の危険なものであったが、幸いにして今は授業中であり、この光景を見とがめる人は誰もいなかった。
そんな状況の下、少女……ルイズは、焦る心を足で抑えつけるかのようにして走っていた。
―――ミス・ヴァリエールッ、君の使い魔が目を覚ましたそうですぞっ―――
上の空で受けていた授業中に、コルベールがいきなり教室のドアを開けはなちながら言ったセリフに、ルイズの思考は一瞬停止したが、直ぐにその言葉を理解すると、教鞭をとっていた教師に対し。
「お腹が痛いので保健室に行ってきますっっ!!」
と、元気よく言った後、教師が何か反応する前に、ルイズは、ドアの前に立っているコルベールの脇をすり抜けるようにして教室を後にした。
「まっ待ちなさいっ、ミス・ヴァリエールッ!」
そして、その後をコルベールがルイズに呼び掛けながら追いかけて行った。
ルイズが出ていった教室では、教鞭をとっていた教師が、開けっぱなしにされたドアを見た後、教室を見回し、
「いつも思うんだが、お腹が痛いなら保健室ではなく、先ずトイレじゃないのか?」
と、教室にいる生徒達に問いかけたが、女生徒達の絶対零度の視線にさらされ、
「次の問題だが……」
何もなかったように授業を再開した。
女性が部屋から出ていった後、男は言いつけを律儀に守りながらも、窓を開けて外の様子を伺ったり、部屋にあるタンスを開けたりして、出来るだけ自分の置かれた状況を把握しようとしたことにより、ある程度、自分の置かれた状況について分かったことがあった。
「この状況、さっきの女性の言葉……考えたくは無いがまさか……」
男は部屋の中を探し尽くした後、再びベッドの上に座り込みながら呟いた。
「……まぁ、想像の通りだとすれば、考えてもどうしようもないしな」
男の体には、部屋を検索していた際に見付けた、自分の外套と甲冑が身に付けられていた。
「問題は、この左手に刻まれたルーンだな」
そう言い、男は左手の甲を顔に向けるようにし、掲げて呟いた瞬間―――ドッ!ガッチャンッッ! ―――バキッ! ……部屋のドアがものすご
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