暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
飛翔と空への憧れ
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それに答えたのは、キリト達ではなく彼の肩、ジャケットの大きな襟の下から顔を出したユイという名のピクシーだった。

「フクザツですね、人間は」

きららんと音を立てて飛び立つと、キリトの反対側の肩に着地し、小さな腕を組んで首をかしげる。

「ヒトを求める心を、あんなふうにややこしく表現する心理は理解できません」

彼女がプログラムであることも一瞬忘れ、リーファはユイの顔を覗き込んだ。

「求める………?」

「他者の心を求める衝動が、人間の基本的な行動原理だとわたしは理解しています。ゆえにそれはわたしのベースメントでもあるのですが、わたしなら………」

ユイは突然キリトの頬に手を添えると、かがみこんで音高くキスをした。

「こうします。とてもシンプルで明確です」

あっけに取られて眼を丸くするリーファの前で、キリトは苦笑いしながら指先でユイの頭を突いた。

「人間界はもうちょっとややこしい場所なんだよ。気安くそんな真似したらハラスメントでバンされちゃうよ」

「手順と様式ってやつですね」

「………頼むから妙なことを覚えないでくれよ」

「なるほど……。手順と様式………」

「カグラ、何で真剣な顔でそこを繰り返すのさ」

キリトとユイ、ついでにレンとカグラのやり取りを呆然として眺めていたリーファは、どうにか口を動かした。

「す、すごいAIね。プライベートピクシーってみんなそうなの?」

「こいつは特にヘンなんだよ」

言いながらキリトはユイの襟首をつまみあげると、ひょいと胸ポケットに放り込んだ。

「そ、そうなんだ。……………人を求める心、かぁ……」

リーファはピクシーの言葉を繰り返しながら、かがめていた腰を伸ばした。

なら────、この世界でどこまでも飛んでいきたいと願っている自分の気持ちも、実はその奥で誰かを求めているのだろうか。

不意に、兄である少年の顔が脳裏に浮かび、ドキン、と心臓が大きな音を立てる。

ひょっとしたら……この妖精の翅を使って、現実世界のいろんな障害を飛び越えて、あの胸に飛び込んでいきたいと、そう思っているのだろうか………?

「まさかね………」

「ん?何か言った、リーファねーちゃん?」

「へ?い、いや、何でもないよ。………さ、さて、そろそろ出発しよっか」

こちらに首を傾げてくるレンに笑顔を向けると、リーファはつっと空を振り仰いだ。

夜明けの光を受けて金色に輝いていた雲もすっかり消え去り、深い青がどこまでも広がっていた。今日はいい天気になりそうだった。

「────と、その前に」

リーファはあることを思い出し、三人のほうへと向き直った。その理由は

「キミ達、ロケーターストーンって知ってる?」

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