第五十五話
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「今回も向かってくるのを確認できませんでした」
「お疲れ様です、次の担当にご連絡お願いします」
……今まではそもそも騎兵の数が少なすぎて索敵に回す騎兵のやり繰りが苦しかったが、シアルフィ軍の合流によってそれが一気に解決し、俺は城壁の上から偵察隊とやりとりをしている。
飛行兵が居ればさらに良いのだろうがそれは贅沢と言うものだ。
このあとしばらくは偵察隊が戻ってくることは無いので司令部へと向かった。
軍議と言っても、しっかり階級分けがある訳でも参謀チームのようなものがある訳でも無いので、互いの部隊間での足りないものを融通しあうなり、周囲の地形を記した地図を前にして、予想される敵の進行ルートやこちらが配置する兵のポイント、伝令をどう滞りなくやりとり出来るかの訓練とその成果の報告などを話あったり、時として世間話のようなものを行ったり……
「……それでこの街が襲われたということなのか。 ふぅむ」
「はい、この目で確認はしておりませんが市長代理に尋ねたところ、大層驚かれましたがお認めいただけました。ただ、目にする機会が得られるかはわかりません」
「ロプトウスの神器がこの街に封印されていたとは……」
……原作ではマンフロイがユリウスに献上したとされるが、彼がそれをどこで手に入れたかの具体的な描写は無かった。
それゆえ、俺も知るところでは無かったのだが………例の、あの占い師に言われたことを思い出していた。
……シルヴィアを迎えに来てくれた使者の一人を見送った帰り道、再びあの美貌の占い師に出会ったのだ。
人それぞれ何が美しいかの基準が異なるのは言うまでもないが、この存在はそれを超越した地点に存在する"全き美そのもの"としか感じられなかった。
艶然としながらも清らかな乙女のようにも見える微笑を浮かべた彼女はこう問いかけた。
「あなた達……私の占いどう思ったのかしら?」
「抽象的過ぎてわかりませんでしたが……今、そう言われればあれはそういうことだったんだと思えます」
「そうね、坊やへの伝え方は難しかったかもしれないわ。 でも、そちらのお嬢さんにはわかりやすくお伝えしたというのに……」
「ごめんなさい……でも、あたしにはそうするしかなかったの」
シルヴィアに蔑むような一瞥をくれてから己の首飾りに繊手を這わせた彼女は
「あなたはもういいわ。 さようなら」
「だって……」
「前に『でも』とか『だって』って嫌だって言ったでしょう? それよりも、私は坊やのほうに用があるの」
もうシルヴィアには全く興味無さそうなこの美女は俺のほうを見やり
「あなたならきっとわかるわ。 ……魔狼の父にして神馬の母、狡知な者、そうね、あなたが懸命に顕現を阻止しようとしてい
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