第五十五話
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ーナを訪れ、その名を聞いて一も二もなくこの場に通してもらうことにした。
最後に会ってから一年も過ぎては居ないというのになつかしさすら感じてしまう。
シグルド公子とは面識があると思うが、マナナン王とは無いと思うので俺から紹介することにした。
「こちらはヴェルトマーのアゼル公子、もう一方はドズルのレックス公子。 わたしの親友です」
「イザークのマナナンだ。 お初にお目にかかる。 ミュアハ王子が自らの朋輩と言うだけあって立派な若者達だ。 以後、よろしく頼む」
自己紹介を済ませた後に要件を尋ねてみた。
グランベルからの降伏勧告、あるいは講和の使者であるのかも知れないが……
「ダーナはイザーク軍とミュアハのレンスター軍に占領されて住民は皆殺しにされたってバーハラ中、噂になっている」
「なっ、そんなこと無いのは見てもらえばわかるだろう! それに街へ無差別に隕石召喚落としたのはグランベル軍のほうだぞ!」
「あぁ、実際に様子を見てわかったよ。 だけどバーハラでそれが通用するかは……オマエならわかるんじゃねぇか?」
「くっ………」
「公爵会議ではうちのオヤジとアゼルの兄貴がダーナに兵を送れって騒いでいる。 ユングヴィ公は病に倒れてしまって、出兵に反対がクロード様とシグルド公子の父上。宰相閣下は棄権。そういうわけでクルト王太子に裁可を求めたら人を送って様子を確認すべきってことで、俺らが選ばれた」
続きはアゼルに促すような態度だったので彼のほうを見やり、飲み物で口を湿らせた。
「兄上は何も教えてはくれないけど、レックスのほうから聞いたことを話すよ。………もし裁可で出兵が否決になったら、グランベル軍としてでは無く、それぞれの公国の私戦としてでも出撃するって……」
「……王太子殿下は職権で出兵を認め無かったらすぐさま二公が兵を送るって思ったから時間稼ぎをしてくれたのか……」
「そう、だと思う……」
「それに加えてバーハラの様子も知らせてくれたってことか」
「ボク達を人質にしたっていいんだよ。 たぶん殿下はそれでボク達を送ったんだと思う」
「いや、ドズル公もヴェルトマー公にも人質は通用しないよ。むしろ…………」
俺が言おうか言うまいか悩んでいるとそれを察したレイミアが
「公子、このままアンタ達を送り返しても無事に帰りつけるかわからないよ。 十中八九とまでは言わないけど七六くらいはアンタ達を途中で亡き者にしてこっちの仕業に仕立てそうなもんさ」
「うちのオヤジはロクデナシだけどよ、そこまでするかよ!」
「すまん、俺が言わないもんだから代わりにうちの相方が言ってくれただけなんだ、怒りは俺にぶつけて欲しい」
「………ふん」
「ねぇ、ミュアハ君、うちの相方って? なんか意味深なんだけど?」
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