第五十五話
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るモノ……それの鍵がこの街にあるの。ご存じ?」
魔狼と聞くと真っ先に思い浮かぶのはフェンリルだが、ガルムだとか他にも候補はいくらでも居る。
だが、神馬を産んで尚且つ狼の父、そして狡知と言えばロキという神だと思う。
俺が阻止しようとしているのはロプトウスなんだが……
「ロキって神のことだと思うのですが……ロプトウスの事のように仰ってますね。 両者に何か関係あるのでしょうか?」
「そうね、もしあなたの願いが叶ったら『大きく成長したもの』を調べてご覧なさい……ロプトと言うのよ」
「なるほど……ロキの別の呼び名の一つがロプトと言うのですか……そういう由来だったとは存じませんでした。ところで、鍵と仰られても見当がつきません。 それに、何故いろいろと教えてくださるのでしょう?」
「……あなたたち人の子が愛したり愛されたり、恋したり焦がれたり……そんな姿を眺めていたり、時としてそれを追体験したり、相談を受けたり介入してみたり……それが私の生き甲斐なの」
彼女がいじる細工の極みは首筋を黄金の滝のように彩っている。
「あなたは私の心を打つ素晴らしいものを見せてくれたし………ねぇ、話は変わるけれど、お願いもあるの。もちろん断ってくれても構わないけれど……果たしてくれたらあなたの願いも……」
「とりあえずお話だけでも、伺いましょう」
……その後、俺は彼女と、とある契約を交わした。
気が付くと心配そうに俺の様子を見ているシルヴィアの姿があった。
彼女は途中から蚊帳の外にされていて、意識の無い俺を見守っているしかなかったと言う。
俺とあの占い師とのやりとりは知ることが無かったと言うわけだ。
ロプトウスの鍵について、市長代行とその家族に問い合わせてみたところ………
およそ百年前の戦争の後、ロプトウスの神器たる魔道書を消滅させようとあらゆる手段が採られたのだが、焼き尽くそうと破き捨てようと何事も無かったかのようにその姿を取り戻してしまうため封印という手段を取ることにした。
最初はグランベル王家で厳重に保管していたのだが、ほんの半年もしないうちに保管庫はぼろぼろに崩れ、他に違う素材で建て直しても崩れるまでの期間が変わるに過ぎなかった。
途方にくれた聖者ヘイムは十二聖戦士降臨の地で再び啓示を受けることは出来ないものかと一縷の望みでダーナを訪れた。
……再び奇跡は起こり、代々のダーナ市長しか知り得ない場所でゆっくりと浄化を受けていると教えてもらった。
この街を狙う理由はそこにあるのかもしれない。
仮に全てを破壊し尽くしても魔道書は残る訳だし……
数日後の軍議中に伝令があり、俺に目通りを願う者がダ
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