護堂とエリカと
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まったと言える。
そこで、強引にこの流れをぶち壊そうとしたエリカは、ずっと不思議に思っていた事を質問した。・・・質問というよりは、尋問と言った方がいいかも知れないが。
一切の嘘を許さない。彼女の瞳からは、そんな意志が感じられた。
「いや・・・何者って言われても。」
対する護堂は、当然だが困惑している。エリカが何と思おうと、彼は正真正銘の一般人なのだ。知らないことは答えようがない。
「じゃぁ、質問を変えるわ。貴方は何故、この島に来たの?何が目的?」
(何だか良くわからないけど、すっげぇ疑われてるし・・・ここは正直に話したほうがいいか。病院内で武器を振りかざすような連中の仲間だし、何されるかわからない)
これは正しい考えだった。
既に、エリカ含む護堂以外の全ての人間が、多かれ少なかれ彼女の影響を受けていた。彼女が、まだ自分を取り戻して間もない頃だったので見て分かるほどの変化は無かったが、それでも精神に影響が出ていたのだ。
護堂が目覚めてから、まだ二十分も経っていない。それはつまり、まつろわぬナイアーラトテップが自身の神格を取り戻してから二十分も経っていないということだ。だというのに、高度な物理精神複合結界で守られたこの病院の人間や魔人にまで影響を及ぼす。これが、まつろわぬ神の権能だった。
今はまだ深夜。起きている人間が少ないので大事にはなっていない。・・・が、タイムリミットは確実に近づいてきていた。
もし、護堂が下手な嘘を吐いたとエリカが判断し襲いかかっていれば・・・エリカは、既にこの世に居なかったかもしれない。
それ程、今の護堂は危険な存在である。・・・正確には、護堂に迫った危険を見逃す神器ではないのだ。まつろわぬナイアーラトテップから簒奪した権能を使用すれば、人間の魔術師一人など塵芥に等しい。その意味では、助かったのはエリカのほうである。
「俺は、この石版をじいちゃんの知り合いに届けに来たんだよ。凄い貴重な代物らしくて、航空便で運ぶのも、壊れそうで怖いだろ?・・・じいちゃんとその人が、会わないようにっていう配慮だけど(ボソッ)。」
最後の言葉をエリカに聴かせる気は無かったので、小声にした護堂。正直、身内の問題なので、これは他人に聴かせる話ではない。
「届けに来た?相手の名前は?」
「そんなことまで話さないといけないのかよ・・・。いや、分かった話すよ!話すからその果物ナイフを置いてくれ!」
護堂が渋ると同時に、エリカは無意識の内にテーブルの上にあった果物ナイフを掴んでいた。エリカには、このナイフで護堂をどうこういようというつもりはない。・・・だが、彼
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