第61話
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
うな顔をしながら振り返り説明を始める。
「まず、衝撃波の方だけどあれは空気中の水素を利用して、俺に衝撃が伝わるようになっている事は分かった。
それなら俺に衝撃波が伝わる道筋を予測して、衝撃が伝わらないように空気中に含まれている水素原子を数秒間消滅させた。
風の塊はジャミング音を利用して演算式を乱しただけ。
土の棒はベクトル操作で破壊。
これで満足か?」
説明を聞いて余計に麻生の能力が何なのか分からなくなってきた。
基本的に能力は一人一つだ。
だが、麻生の話が本当なら能力を最低でも三つは持っている事になる。
「あなたは本当に何者なのですか?」
「言った筈だ。
ただの一般人Aだ、ってな。」
説明を終えると麻生は校舎の方へと歩いていく。
いつの間にか手に持っていたハリセンもどこかに消えていた。
「負けましたわね。」
一人の生徒が呟いた。
「ええ、能力は分かりませんでしたが完敗ですわね。
勝負は勝負、認めざるを得ないといけませんわね。」
普通なら負けた事に腹を立てるかもしれない。
今はそれほど腹が立っていない。
まだ分からない事はたくさんあるが、彼女達の表情はとても穏やかな表情だった。
「あの麻生恭介という男、何者でしょうか?」
一部始終を見ていた食蜂操祈の取り巻きが操祈に話しかける。
「さぁね、でも余計に興味が湧いちゃったぞぉ♪」
そう言う操祈の表情は新しいおもちゃを見つけた子供の様だった。
「女王、注意してください。
彼の能力はどんなものなのか全く分かりませんので。」
「大丈夫大丈夫♪
私の能力があれば簡単に分かる事だから。」
「理事長、見ましたか?」
理事長と教師達が集まって話し合っていた。
「ええ、彼の能力はとても興味深いものばかりでした。
しかし、どれもうまく説明する事は出来ませんね。」
そう言う理事長の表情は困ったような顔ではなかった。
「この事は上に報告するのですか?」
「報告をするにしてもどう報告書を書けばいいのか全く分かりません。
ですので、この件については保留にしましょう。」
麻生と美琴が話している所を見つめながら、理事長は小さく笑いながら言うのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ