第61話
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引く訳にはいかないんでね。
こっちも少しだけ本気を出すよ。」
腰を落とすと十メートルあった距離を一気に詰めていく。
能力で地面を蹴るベクトルを変化させたのだ。
いきなりのスピードの変化に三人は驚くがすぐに対処する。
幾ら早くてもこちらに真っ直ぐ向かってくるのだから、衝撃波で迎撃しようと衝撃波を放つ。
だが、衝撃波を放っても途中で拡散してしまい麻生には届かないのだ。
他の二人は衝撃波が原因不明だが発動できないと分かると、風力使いで風を圧縮した塊を幾つも作りそのまま麻生に向かって放ち、もう一人の生徒は土の棒を何本も作りだし、そのまま麻生に向かって繰り出す。
直後、ピーッという音と同時に風の塊も麻生にぶつかる前に消えてなくなった。
残るは土の棒だけだが、麻生は自身の拳で土の棒を全て破壊していく。
これもベクトル操作によって衝撃を何倍にも増やしているのだ。
彼女の制御には色々欠点がある。
子供用のスプーンがあって、それを手に取ればスプーンをフォークに変形させる事は出来るし、ナイフにも変形させる事は出来る。
だが、長さや重さは変形させる事は出来ない。
つまり、地面などの莫大な面積や質量をもつ物を操り檻や土の棒を作る事は出来ても、生えている天然芝を長くして鞭のように攻撃する事が出来ないのだ。
そして自分の周りに両手で触れる事ができ、かつ攻撃が出来るのは地面のみ。
だが、檻や土の棒はいとも簡単に防がれてしまった。
他の二人も原因は分からないが能力を防がれている。
気付けば麻生は自分の眼の前に立っていた。
自分達は本気で麻生を攻撃したのだからそれに見合う反撃も予想される。
三人は完全に自分達の攻撃を防がれ、戦意を喪失していた。
寄り添い肩を震わせ、目には涙が溜まっている。
麻生は左手を振り上げ、一気に振り下ろす。
三人は一斉に目を瞑るが、次に来た衝撃はバチーン!!、という凄く爽快な音が響き頭に痛みを覚える。
三人は目を開けると、麻生の手にハリセンを手にしていた。
「俺の勝ちだな。」
「「「へ?」」」
麻生の言葉に彼女達は思わず声を洩らす。
「お前達は能力を完全に防がれ、戦意を喪失、さらに俺にハリセンで一発ずつ殴られたんだ。
勝負はついたと思うんだが。」
自分の身体をよく見ると、腰の抜かしたのか地面に座り込んでいた。
これは傍か見ても勝負はどちらが勝ったか言うまでもない。
「そこまで!!
この勝負は麻生恭介さんの勝ちです!!」
教師の声が聞こえると麻生はふぅ〜、と息を吐いてその場から立ち去ろうとする。
「お、お待ちになって!!
わたくし達の能力を防いだのはあなたなのでしょう?
どうやって防いだのですか!!」
それを聞くと面倒くさそ
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