暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/stay night -the last fencer-
第一部
それぞれのマスターたち
穂群原学園(T) 〜夢跡〜
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告を聴く。

「で、どうだった?」
「ダメね。他のマスターたちの痕跡も何もなかったわ。あ、リンとアーチャーは見かけたけど」
「あの二人はいつでも会いに行けるだろ。まぁ、まだ焦る必要もないさ」

 聖杯戦争は始まったばかり。
 他のマスターもサーヴァントも、大きな動きは控えているだろう。

 戦争である以上、こちらがそれなりに動いていれば自然と出会うはずだ。
 篭城なんて戦法は機能しづらいし、それができるのはキャスターのみ、条件付きでアーチャーもか。

「そうね。ところで、私の朝食は?」
「欲しけりゃ自分で用意しろ。晩飯は作ってやるが、それ以外は余裕がない」
「ふーん。朝からシャワーを浴びる余裕はあるのに」
「………………いつから、戻ってきていたんですか?」
「んー、寝汗をかいて悶々としながら飛び起きたあたりには居たかな」
「最初じゃん! 思いっ切り最初っからじゃん!!」

 あんな情けない様を見られていたというのか。

 霊体化されていては意識しないと何処に居るのか正確にはわからない。
 ラインの認識や状態把握は出来るが、向こうに黙られていては知ろうとしない限り、知らせようとしない限り知覚できないのだ。

 あからさまに不満な顔をして抗議する。

「夢見が悪かったんだよ。そうでなきゃ誰が朝っぱらから冷や水浴びたりするか」
「────マスター」
「ん?」

 スッとこちらに移動し、正面に座る。

 一体なんだと言うのか。口論でもするつもりか?

 食事の手を止め、フェンサーと向かい合う。

「ん」
「!?!?」

 コツン、と額と額を接触させられる。

 え、何だ、新手のイジメか!?

 とんでもない美人のくせにいきなり無防備にそんな至近距離に近づくんじゃねぇよバカ!

「近ぇぞフェンサー!」
「少し大人しくして」
「っ…………はい」

 くっそ、こんな距離で真っ正面から見つめられながら囁かれたら、誰だって大人しくなるに決まってんだろ!

 そんな俺の内心まで窺うかのように、紅い眼が俺の眼を捉えている。
 まるで魅惑の呪(チャーム)にでも掛かったかのように、俺は身動ぎ一つできない。

 彼女の吐息が間近に感じられる。
 同じように、俺の呼吸もあちらには伝わっているだろう。
 もしかしたら、今俺が尋常じゃなくドキドキしちまってることまでバレやしないかと────

「……吸精魔術の跡があるわ」
「────────は?」
「だからサキュバスの痕跡があるの。マスター、魔力大丈夫?」
「あー、えー……あぁ、何か中途半端に抜けた感があるのはそのせいか」
「私が離れてる間に仕込まれたんでしょうね。明確な敵意や殺意があったら気づいたでしょうから、きっと
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