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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
第二巻
【第六十二話】
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――本当は言いたくない話かもしれない、でもシャルルはその話を健気に喋ってくれた。


「父に会ったのは二回くらい。会話は数回くらいかな。普段は別邸で生活をしているんだけど、一度だけ本邸に呼ばれてね。あの時はひどかったなぁ。本妻の人に殴られたよ。『泥棒猫の娘が!』ってね。参るよね。母さんもちょっとくらい教えてくれたら、あんなに戸惑わなかったのにね。あはは…」


愛想笑いを繋げるシャルルだったが、その声は乾いていて少しも笑ってはいなかった。

正直、そのシャルルの親父が許せない――自身が愛人であるシャルルの母親を孕ませて、産ませた――のかシャルルの母親が黙って産んだのかは俺にはわからないが、自分の娘に対する対応じゃない。

本妻の人もおかしい、普通なら父親の方を殴らないといけないのにシャルルを殴るなんて――。


拳を握りしめ、怒りを抑えるように俺は堪えた――。


「それから少し経って、デュノア社は経営危機に陥ったの」

「……?何でだ?デュノア社は量産機ISのシェアが世界第三位で国の援助もあるはずだろ?」


「そうだけど、結局リヴァイヴは第二世代型なんだよ。ISの開発に物凄くお金がかかるのはヒルトも知ってるでしょ?」

「あぁ。母さんも村雲を開発するのに国からの支援はあったって言ってたが――」

「うん。それで、フランスは欧州連合の統合防衛計画『イグニッション・プラン』から除名されているからね。第三世代型の開発は急務なの。国防の為もあるけど、資本力で負ける国が最初のアドバンテージを取れないと悲惨な事になるんだよ」


――そういや一度、セシリアが第三世代型の開発に関して言っていたな…。


『現在、欧州連合では第三次イグニッション・プランの次期主力機の選定中なのですわ。今のところトライアルに参加しているのは我がイギリスのティアーズ型、ドイツのレーゲン型、それにイタリアのテンペスタU型。今のところ実用化ではイギリスがリードしていますが、まだ難しい状況なのです。その為の実稼働データを取るために、わたくしがIS学園へと送られましたの。そのお陰でヒルトさんとも――』


……最後の方は、俺がどうたらこうたらって言っていたがよく覚えてない。

――ドイツからボーデヴィッヒが転入してきたのも、そのイグニッション・プランの為だと思われる。


「話を戻すね。それでデュノア社でも第三世代型を開発していたんだけど、元々遅れに遅れての第二世代型最後発だからね。圧倒的にデータも時間も不足していて、中々形にならなかったんだよ。それで、政府からの通達で予算を大幅にカットされたの。そして、次のトライアルで選ばれなかった場合は援助を全面カット、その上でIS開発許可も剥奪するって流れになったの」


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