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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
第二巻
【第六十二話】
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わからないという表情だったが、自分の体勢を見て理解したのか飛び退くように俺から離れた。
そして、胸を隠すように自分の体を抱き――。
「………………」
その眼は弱々しくあったが、女子特有の抗議の眼差しを俺に送ってかた。
「心配しているのに……ヒルトのえっち……」
「……押し付けてきたのはシャルルなのに俺のせいだと…。まあ…えっちなのは否定しないが…」
しかし、彼女の眼差しは此方に対する抗議だけではなく、全体的に恥ずかしそうで――どこか嬉しそうな表情をしていた。
――よくわからんが、多分気恥ずかしさだろう…。
まだ出会って数日なんだ、シャルルが俺に好意ってのはまずあり得ないしな。
「……とりあえず、ここまで冷やせば大丈夫だな。ほらシャルル、今度はちゃんと取れよ?」
「う、うん」
湯飲みを渡すと、シャルルは一口日本茶を口にした。
「……なあシャルル」
「な、何…?」
「何かしら理由があって男子のフリをしてたんだと思うが――無理して言わなくていいぞ?」
「え?――ヒルト…気にならないの…?」
「ん?気にならない訳じゃないが。――シャルルが俺の友達ってのには変わりないだろ?男子だろうと女子だろうと、俺にとっては君は君――シャルル・デュノアに変わりないんだから」
「ヒルト……。――……ありがとう、でもやっぱり僕はヒルトに隠し事したくないから…全て話すよ」
「……いいのか?」
「うん。……ヒルトだから、ヒルトにだから全部…話したい…」
「……わかった。なら聞くよ。だが、言えない事は無理して言うなよ?」
「……うん、ありがとう…」
聞く準備をし、シャルルは目を閉じ深く深呼吸するとゆっくりと口を開いた――。
「……僕が男の子のフリをしたのは、実家の方からそうしろって言われたの……」
「実家?デュノア社だよな?」
「そう。僕の父がそこの社長。その人から直接の命令なんだよ」
シャルルの表情が徐々に曇り出していた。
――何か変な違和感みたいなものを感じるが……。
「父親が娘に命令って…何でそんな――」
「僕はね、ヒルト。愛人の子なんだよ」
「愛人……!?」
――正直、頭に強い衝撃を受けたような感覚に襲われる。
まだガキでたったの十五歳の俺でも、その『愛人の子』という意味がわからないほど世間に疎くはない。
「引き取られたのが二年前。ちょうどお母さんが亡くなった時にね、父の部下がやってきたの。それで色々と検査をする過程でIS適応が高いことがわかって、非公式ではあったけれどデュノア社のテストパイロットをやることになってね」
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