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シャンヴリルの黒猫
48話「第二次予選(1)」
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が透けて見える2人目の(・・・・)クオリが説明すると、ほっと息をついた。

「ゴーレムなんです、あれ。驚かせてすみません。でもこれで席は確保されましたから、安心してアッシュさんを迎えに行きましょう!」

 はぐれないように手と手を繋ぎ、人混みに飛び込んだ。




******




 やれやれやっと終わったかと、15回鐘が鳴り終えると共に周りへの警戒を解いた。周りも同じらしい。うさぎを抱えている者はほっとして腰を下ろし、捕らえ損なった者はああ、と膝をつく。
 あのあとアシュレイは、ずっと兎の首根っこを捕まえたまま木の上で時間を過ごした。途中数名に気づかれたが、一言も喋らせるまもなく用意していた胡桃を脳天に直撃、即行でお休みいただいた。

「お疲れ様でしたー」

 どこからともなく現れたスタッフにフェアラビットを渡し、首にくくりつけられていた赤いリボンを手首に巻く。
 彼らに先導されて、ぞろぞろとファイザルへ戻り始めた。

 町に着くやいなや、待ち構えていた民衆の歓声に迎えられた。たかが第一次予選を終えただけでこの興奮である。本戦や決勝はどうなるのか、想像がつかなかった。ただ1つ分かるのは、アシュレイのその並外れた聴覚にかなりのダメージを与えるだろうということだ。今も頭がキーンと鳴っている。
 次の集合時間と場所を言われると、その場で解散した。さてこの人の山からどうやって2人を探そうかと考えていると、どうやらその必要はないと考え直す。

「アッシュー!!」

「アッシュさん! お疲れ様でした!」

「おうおう、お迎えありがとさん」

 2人の頭をぽんぽんと撫でつつ、まずはこの場を離れる。はぐれないように、また3人は手を繋いだ。ふと握っているアシュレイの左手首に結んである赤いリボンに気づいたクオリが、つんと彼のコートの袖を引っ張った。

「このリボンは何です?」

「ああ、うさぎの首にくくりつけられてたやつだ。これで二次予選のグループ決めが行われるらしい」

「もっと綺麗に結びなさいよ。あとでやり直してあげる」

 アシュレイの反対側の手につかまっていたユーゼリアが、ひょいとその腕にしがみつく。持ち前の膂力で彼女の体を引きずらないよう持ち上げつつ、礼を述べた。

 3人で遅い昼食を食べ終えると、再び別れ、アシュレイは1人集合場所へと向かった。
場所はまた屋外、だがそこは森とは違い、身を隠す所もない平野だった。位置で言えば、町を中心に森より西側にあたるところである。
 時間は思ったよりもギリギリだったらしい。目印の赤いフラッグの周りには、既に多くの選手が集まっていた。皆体のどこかにアシュレイと同じ赤いリボンが結んである。
 着いてまもなく。町から16回鐘が響くと、またスタ
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