§33 類は友を呼ぶ?
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「え?」
「草薙さんは先程、日光東照宮の方へ向かわれました」
「あの野郎逃げやがったな!?」
甘粕の微妙な声に違いに気付くことなく、黎斗は綺麗に誤解する。甘粕としてはここで事情を全て説明して協力を仰ぎたい。現地では護堂とヴォバンが戦っている頃だろう。万全を期すならば黎斗にも日光に行ってもらうべきなのだ。だが、現在日本は地雷原と化している。選択肢を一つ間違えただけで国土消滅となってしまう程の。有史以来ほぼ全ての魔王が一つの国に集まるなどあっただろうか? 一方で、ここで札を全て切るわけにはいかない、とも思う。
(黒王子や剣の王の動向が不明な以上、黎斗さんまで動かすわけにはいきませんしね)
事情を包み隠さず伝えて協力を仰ぐべきであることはわかるのだが、勝手に誤解して勝手に納得している黎斗に逐一ツッコミを入れて訂正していくのもそれはそれで大変そうだ。
(本人は認めていらっしゃいませんが今までの戦果からみても黎斗さんは十中八九魔王陛下ですしねぇ。オマケに今回のお客様の話でクロと判明しましたし)
彼女の言を全面的に信用するならば、水羽黎斗はヴォバン侯爵に次いで活動年数が長いカンピオーネであると断言できる。活動年数と実力を=で結びつけるには早計にすぎるが、一つの指標にはなるだろう。それだけの間、死線を越えてきたことの証明にはなるのだから。
「……まぁいいや。今夜にでも飛行機で帰りますので、詳しい話はまた後程」
こちらの反応を待たずに通話が切れる。事情の説明をする前に終わってしまった。いくら黎斗が前例に無いほどの「甘い」王でも説明責任を果たさないのは拙い。
「恵那さんの件もありますしねぇ」
護堂が移動した時点では日光に護衛として行っている恵那の無事は確定なのだが、今も無事である保証はない。彼女の実力なら大丈夫だろうが現地では只今神殺し同士の激闘真っ最中なのだから。何が起こっても不思議ではない。現地との通信ももはや敵わない状況になっているし。
「説明させてもらいますか」
黎斗に再び電話を掛ける。出ない。数分後にメールが来る。バスに乗っていて電話が出来ないらしい。状況説明をする旨を送ると、東京に帰った時に聞くという。
「あんまりしつこく言うのも拙いですよねぇ」
これは事前説明は諦めるしかないか。
「飛行機とか予約とられたんですかねぇ」
もしかしてこれから飛行機の便の予約を取るのだろうか?
「こちらでとりますよ、っと……」
メールで黎斗に予約を取る旨を送る。数秒後に「お願いしますm(__)m」の文が携帯電話の画面に踊る。
「ははは。お任せください、と」
チャーターやVIP席はやめてくれ、と先手を取っ
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