§31 鬼と人と
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棒を紙一重で避け、鉄棒を持つ鬼王の腕を黎斗自身の背後へ引く。
「ぬ!?」
右足を軸にして左足を鬼神に叩きつける。体勢を崩した酒呑童子に回避は不可能だった。背中に直撃した黎斗の蹴りが、酒呑童子を吹き飛ばす。
「ふっとべ!」
素手での格闘は予想外だったのだろう。意外過ぎるほどあっさりと、黎斗の一撃が決まった。
「あの巨体でこうも飛びますか。っかアレは不死身だろゼッタイ」
小休止をとる暇も無く立ち上がる鬼に、根負けしたくなってくる。
「賢しらな技を覚えたか。だが、それで儂を止められると思うなよ!」
「……えぇい、ロンギヌス!!」
黎斗の影から飛来する運命の槍が、鬼神の躰に傷をつける。若干穂先が熔けたものの、しばらくすれば回復するだろう。
「この程度で勝ったつもりか?」
黎斗がロンギヌスを構える頃には既に躰は完治している。有効打が与えられない状況に、黎斗が舌打ちをしてもしょうがない。
「埒があかん。闇の総帥が使えれば、くっ」
邪気化させた手足での攻撃によって直接魂を削り取る。徒手空拳はあまり得意ではないのだが、武器が封じられている以上この戦法しか使えない。触れれば即死には至らずとも相手の生命力を奪えるのだ。これが使えないのは正直厳しい。友愛の神で使える能力だって??
「あ」
今は護堂の権能が使えるではないか。光り輝く剣が使える。
「だがそれなら迦具土の権能使った方が早いか?」
しばしどちらを使うべきか考える。迦具土の権能は単一権能故か権能以外にも様々な状況で使えるので汎用性が高い。迷うところだが、相手の手札総数は不明であることだしこちらも手札を隠しておいた方が良いかもしれない。切り札は最後までとっておこう。今の状況で切れる札はまだいくつかあるのだから。
「まずは万里谷さんの力を借りるか」
霊視の力を裕理から拝借。狙うは金属無効化能力の正体。これさえなくせば攻撃は通るのだ。幽世補正も相まって、裕理本人でないにも関わらず、知りたいことの霊視をすることに成功する。
「んで、次は”戦士”で! ……さて、大将。悪いがこっちも色々いくぞ」
黄金に輝く剣を、霊視によって得た知識で補強し強化する。
「鬼に金棒。この諺にあるように鬼の武器は鉄製だ。っか鉄の塊だ」
「また小賢しい武器を。しかも何を言い出すかと思えば」
嘲笑するような酒呑童子の言葉。それも当然。まだ輝きは小さく今のままでは脅威に成り得ないどころか、傷をつけることすらままならないだろう。だから、黎斗は言葉を紡ぐ。敵の手札を破壊する鬼札が、黎斗の手中で輝きを増してい
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